エステティシャンとして経験を積み、スキルと自信を身に付け、「次は自分のサロンを持ちたい」という憧れを抱いている方は多いのではないでしょうか。

エステサロンからの独立や開業は、他の業種と比較すると簡単に感じるかもしれません。しかし、経営に関する知識が乏しいまま開業してしまい、赤字に悩まされてしまった結果、廃業してしまったというケースが多いことも事実です。

そこで今回は、サロン開業を成功させるためのポイントを詳しく解説します。エステサロンからの独立を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

独立する人の特徴

エステサロンから独立する人には、共通して以下のような想いを持つ傾向があります。

  • 収入を上げたい
  • 実力を試したい
  • こだわりを詰め込んだサロンを作りたい
  • ライフスタイルに合った働き方をしたい
  • お客様との距離感が近いサロンを作りたい

エステティシャンよりもさらに上を目指したいという気持ちや、自分の理想を全て詰め込んだサロンを作りたいという気持ちを持つ方が多いです。

これらに共感できる方は、独立への適性があると言えるでしょう。

独立した人の年収は?

一般的に「独立」「サロン経営」と聞くと、従業員として勤めるよりも収入が増えると考える方が多いのではないでしょうか。

実際に、従業員としてのエステティシャンの平均年収は約350万円です。一方で、独立した人の平均年収は500万円〜1,000万円と幅広くなっています。

このように、独立した方が年収は上がりやすいですが、サロン経営は軌道に乗るまでに時間がかかるため、長い間赤字に悩まされるということも少なくありません。

しかし、明確な経営戦略を立て、しっかりとノウハウを学ぶことで大幅に年収を上げることが可能なため、徹底的に事前準備を行うようにしましょう。

独立するメリット・デメリット

ここでは、エステサロンから独立する上でのメリットとデメリットについて、それぞれご紹介します。

メリット

理想のサロンを作れる

自分好みのエステサロンを作れるという点が、独立の醍醐味と言えます。内装はもちろん、コンセプトや経営方針など、全て自分で決めることができる自由さが大きなメリットです。

初期費用を抑えて開業できる

飲食店や宿泊施設などと異なり、エステサロンは自宅の一室でも開業が可能です。プライベートサロンのように小規模な場合は、設備費用や家賃コストを抑えることができます。開業当初は経営が軌道に乗りづらいですが、初期費用を抑えることで赤字リスクの負担軽減も可能です。

ライフスタイルに合わせて働ける

サロンの開業場所や営業時間を決めることができるので、自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現することができます。家事や子育てと両立したい方や、副業として始めたい方などにメリットが大きいです。

年収が大幅に上がる可能性がある

エステサロンの従業員は基本的に固定給で、突然収入が増えるということは少ないです。しかし独立すれば、自分の頑張り次第で収入が変動するため、経営が軌道に乗れば年収が大幅に上がる可能性があります。

デメリット

来店のハードルが上がる

個人サロンは大手サロンと異なり、ネームバリューでの集客が難しく、来店までのハードルが高くなります。初回の来店から安心感を持ってもらうためには、SNSやホームページでお客様への誠実な姿勢を示したり、常に高い口コミ評価を得られるような施術・接客を心がけましょう。

オン・オフの切り替えが難しい

自由な働き方ができるというメリットがある一方で、いつでも仕事ができてしまうため、気付いたらあまり休みを取れていなかったということになりかねません。特に自宅でサロン開業をする場合は、仕事とプライベートの時間を明確に分けることが難しくなります。

収入が安定しない

サロンオーナーは固定給ではないため、毎月の集客力によって収入が変動します。これはメリットでもありますが、収入が安定せず、常に不安が伴うというデメリットだとも考えられます。

独立・開業に必要な資格やスキル

サロンからの独立や開業には、特別な資格が必要ありません。しかし、「資格を持っている人から施術を受けたい」というお客様が多いため、集客や顧客満足度の点で有利になる資格をご紹介します。

AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー

一般社団法人日本エステティック協会が制定した資格です。エステティックというものを総合的に深く理解し、お客様の期待に応えられる実践力やサロンでの指導力を持っているエステティシャンに与えられます。

AEA認定インターナショナルエステティシャン

一般社団法人日本エステティック業協会が制定した資格です。高度な技術力や専門的知識はもちろん、お客様に満足していただけるホスピタリティ精神を有したエステティシャンに与えられます。

これは国際的に通用する資格であるため、将来さらに幅広い仕事をしたいと考えている方におすすめです。

以上が代表的な民間資格になります。難度の高い資格を持っているとサロン自体に箔が付くため、時間や金銭的に余裕がある方は積極的にチャレンジしてみてください。

サロン開業に掛かる費用

ハンドエステを行うオールドエステサロンと比較し、現在主流になっているエステサロンを開業するには、エステ機器を購入する必要がある分、高額な費用が必要になります。自宅を改装する場合と、マンションやテナントを借りる場合で異なりますが、具体的には以下のような費用が発生します。

  • 家賃
  • 敷金、礼金
  • 仲介手数料
  • エステ機器
  • ベッド
  • 消耗品
  • 内装
  • 広告、宣伝

これら全てを合計すると、少なくとも300万円以上の費用が必要です。当分の運営費用も確保しておくことを考えると、500万円程度の予算を用意しておくことが望ましいです。

エステサロンから独立する方法

エステサロンから独立するための方法は、主に以下の三つです。

  • 独学
  • スクールに通う
  • エステサロンの独立支援制度を利用する

独立支援制度とは、将来独立してサロン開業をしたいと思っている社員を支援する制度のことです。各サロンが設定している一定の条件を満たすと、独立に向けた支援を受けることができます。開業に必要な資金の援助を受けられたり、備品を貸してくれたりする場合もあるため、活用することがおすすめです。

サロン開業までの流れ

ここからは、独立してからサロンを開業するまでの流れとポイントを解説します。

コンセプト設定

コンセプト設定は、他店との差別化を図り、数あるサロンの中から自分のサロンを選んでもらうために重要です。コンセプトを決める際には、以下のことを意識しましょう。

  • 来店してほしい層
  • 施術メニューの種類と値段
  • このサロンで得られる効果
  • 理想の内装や外装

事業計画書の作成

サロンのコンセプトが決まったら、事業計画書を書き進めていきます。事業計画書は、銀行から融資を受けたり助成金を受ける際にも必要です。

開業資金の調達

事業計画書で予算の算出ができたら、資金調達を進めていきます。万が一手持ちの資金が足りず、補助金や助成金を利用したいという時は申し込みが必要なため、早めに確認をしておきましょう。

詳しくはこちらのコラムをご参照ください。
エステ開業に役立てたい補助金・助成金6選

物件選び

サロンの開業場所は、集客をする上で非常に重要です。場所によって客層が全く異なるため、最初に設定したコンセプトに沿って、理想的な場所を見つけましょう。

内装・外装工事

物件が決まったら、コンセプトを体現できそうな内装・外装工事に入ります。工事には時間がかかるため、スケジュールに余裕を持って他の作業と並行して進めましょう。

広告・宣伝

準備の最終段階で、サロンオープンの宣伝準備に入ります。ホームページやSNS、チラシなど様々な方法があるため、予算や開業場所に即した方法で行いましょう。

エステサロンにおける効率的な集客方法については、こちらのコラムをご覧ください。
エステサロンの集客を成功させるコツ!効果的な集客方法は?

サロン開業の失敗例

ここからは、サロン開業で失敗しやすいポイントをご紹介します。

技術力が低いままで開業

サロン開業は資格が不要であるため、エステティシャンとしての経験を数年間積んだ後に、独立するというケースが少なくありません。しかし、高い技術力を持たないままサロンをオープンすると、顧客満足度や口コミに影響を及ぼし、新規顧客を獲得できなくなったり、リピーター率が低下してしまいます。

経営や集客に関する知識を身に付けない

「自分の技術力であれば売上が伸びる」と、技術面のみで経営をしようとするケースがあります。

しかし、自ら経営戦略を立てて集客をしていかなければ、そもそもお客様が来てくれません。サロンオーナーは技術力だけでなく、経営や集客に関するノウハウも身に付けている必要があります。

すぐに低価格競争に入る

エステサロンの競合数は非常に多いため、集客のために低価格でサービスを提供しようとするケースがあります。

しかし、小規模のサロンが低価格競争に入ってしまうと、なかなか黒字経営ができず廃業に追い込まれてしまうことが多いです。競合に勝つためには価格ではなく、自分のサロンにしかない強みで差別化を図っていきましょう。

サロン開業よくあるQ&A

ここからは、エステサロンを開業する際によくあるQ&Aについてまとめてみていきます。

Q: エステサロンを開業するには、具体的に何から準備すれば良いですか?

A: エステサロンの開業には特別な資格は必要ありませんが、資金の確保や物件選び、施術マシンの購入、メニュー構成の決定、公的機関への各種届け出など、やるべきことは多岐にわたります。まずはコンセプトを明確にし、事業計画を立てることから始めると良いでしょう。

Q: エステサロン開業には、どのくらいの資金が必要ですか?

A: サロンの開業には、物件の契約・内外装工事・マシンの購入等、数百万円の資金準備が必要になります。物件の立地や規模、導入する機器などによって大きく変動しますが、例えばセルフエステサロンの場合は総額で500万~1,000万円ほど必要になる場合が多いです。

人件費や家賃、消耗品費、広告宣伝費などの運転資金も毎月確保しなければいけません。

Q: エステサロンの開業には、何か資格や免許が必要ですか?

A: エステティシャンとして働くために、必須の資格はありません。未経験でも開業は可能です。

ただし、専門的な資格や知識がある方がお客様からの信頼は得やすく、長くエステ業界で働きたい場合には資格取得が推奨されます。顔剃りやまつ毛エクステなど、特定の施術を行う場合は国家資格が必要となり、保健所への届け出が求められます。

Q: 未経験でもエステサロンを開業できますか?

A: 資格や免許が不要なため、未経験でも開業自体は可能です。

しかし、他のサロンと差別化し、安定した経営を目指すには、美容に関する知識・技術や経営ノウハウを身につけることが欠かせません。未経験の場合は、フランチャイズでの開業や、プロの開業支援を利用することも検討できます。

Q: 開業準備からオープンまで、どのくらいの期間がかかりますか?

A: 各ステップを丁寧に進めるのであれば、開業準備からオープンまで1年を見積もっておくと良いでしょう。セルフエステサロンの場合も最低でも1年以上かけることが望ましいとされています。

事業計画の変更なども考慮し、余裕を持ってスケジュールを立てることが重要です。

Q: 開業資金が足りない場合、どうすれば良いですか?

A: 手持ち資金が足りない場合は、補助金や助成金を利用できる可能性があります。セルフエステの導入などに活用できる制度もあります。

また、金融機関からの融資も選択肢となります。

独立とサロン開業を成功させるための戦略を立てる

エステサロンからの独立と開業は、比較的簡単にすることができます。ただ、すぐにできるからこそ競合も多く、経営難に陥りやすいのも事実です。

エステ業界は急速にトレンドが変化し、常に需要がある業界と言えるでしょう。開業までの事前準備を入念に行い、緻密な経営戦略を立てることで成功する可能性が高くなります。

多くのお客様を綺麗にし、人気のエステサロンを作り上げるために、今回ご紹介したことを参考にしてみてください。