2025年8月、業界最大手「ミュゼプラチナム」の運営会社が負債総額260億円で破産手続きを開始しました。債権者数は約20万人にのぼり、脱毛サロン業界では過去最大規模の倒産となっています。

帝国データバンクの調査によると、2025年1月から7月だけで脱毛サロン・クリニックの倒産は12件に達し、前年同期の3倍というペースで増加中。2024年の過去最多記録14件を大きく上回る見込みです。

なぜこれほどまでに倒産が相次ぐのでしょうか。背景には、前受金ビジネスモデルの限界、過度な価格競争、広告費の高騰といった構造的な問題があります。

本記事では、脱毛サロン業界の最新動向と具体的な破産事例、破産が起こる根本原因を徹底分析。さらに、経営者が倒産を防ぐための実践的な対策と、利用者が被害に遭わないための見極め方の両面から詳しく解説します

脱毛サロン業界の現状とは?

脱毛サロン業界は現在、かつてない倒産の波に直面しています。

帝国データバンクの調査によると、2025年1月から7月の7ヶ月間だけで、脱毛サロン・医療脱毛クリニックの倒産は12件に達しましたこれは前年同期の4件から3倍増という急激なペースです。このまま推移すれば、2024年の過去最多14件を大幅に上回ることは確実な情勢です

特に注目すべきは、2025年8月に発生した業界最大手「ミュゼプラチナム」運営会社の破産です。負債総額は約260億円、影響を受ける債権者は約20万人にのぼり、脱毛サロン業界では過去最大規模の倒産となりました。

倒産が急増している背景には、業界構造そのものの問題があります。価格競争の激化により利益率が低下する一方で、新規顧客獲得のための広告費やキャンペーン費用は増加の一途。結果として資金繰りが悪化し、経営に行き詰まるサロンが後を絶ちません。

また、多くのサロンが採用している定額制やコース契約の前払い制度も、経営を不安定にする要因となっています。顧客から先に受け取った前受金を広告や新店舗の開設に充ててしまうため、新規顧客が減少した途端に運転資金が不足する「自転車操業」に陥りやすい構造なのです。

さらに、家庭用脱毛器の普及やセルフケア志向の高まり、医療脱毛の低価格化も追い打ちをかけています。こうした環境変化に適応できないサロンは、淘汰される時代に入ったといえるでしょう。

脱毛サロンの破産事例

近年、脱毛サロン業界では大手企業の相次ぐ破産が社会的な注目を集めています。

2025年の破産事例

ミュゼプラチナム(2025年8月破産)

業界最大手の「ミュゼプラチナム」を運営していたMPH株式会社が、2025年8月18日に東京地方裁判所から破産手続開始決定を受けました。これは脱毛サロン業界では過去最大規模の倒産となります。

2015年にも経営危機に陥った後、事業再生を図ったものの、予約困難による顧客離れ、従業員への給与未払い、経営権をめぐる対立などが重なり、2025年3月に全店舗が一時休業。その後、元従業員らによる破産申立てを受け、破産手続きに入りました。

  • 負債総額:約260億円
  • 影響を受けた債権者:約20万人

トイトイトイクリニック(2025年2月破産)

医療脱毛クリニック「トイトイトイクリニック」が破産手続開始決定を受けました。

激しい価格競争の中、大幅な値下げを繰り返したものの利益を確保できず経営破綻に至ったと見られています。

  • 負債総額: 約5億円
  • 影響を受けた債権者: 約2万人

2024年の破産事例

アリシアクリニック(2024年12月破産)

医療脱毛大手「アリシアクリニック」を運営していた医療法人社団美実会が破産手続きに入りました。

有名俳優を起用した大規模な広告展開で知名度を高めましたが、広告宣伝費が高騰する一方、競争激化により顧客単価が低下。2024年7月に「じぶんクリニック」との統合を試みたものの、経営改善に至らず破産しました。

  • 負債総額:約124億円
  • 影響を受けた債権者:約9万人

ビー・エスコート(2024年11月破産)

脱毛サロン「ビー・エスコート」が破産手続開始決定を受けました。

価格競争と信用販売の規制強化により資金繰りが悪化し、経営破綻に至りました。

  • 負債総額:約20億円
  • 影響を受けた債権者:約2万人

2023年の破産事例

銀座カラー(2023年12月破産)

全国約50店舗を展開していた「銀座カラー」を運営する株式会社エム・シーネットワークスジャパンが破産手続開始決定を受けました。

新型コロナウイルスの影響で2021年4月期に11億7533万円の最終赤字を計上し債務超過に。その後、店舗の統廃合を進めましたが、会員数の減少から業績回復が遅れ、運転資金が枯渇しました。

  • 負債総額:約58億円
  • 影響を受けた債権者:約10万人

シースリー(2023年9月破産)

全身脱毛専門の「シースリー」を運営していた株式会社ビューティースリーが自己破産を申請しました。

通い放題サービスで顧客を獲得したものの、人件費の増加や競争激化により利益が圧迫され、コロナ関連融資でも資金繰りの限界に達しました。

  • 負債総額:約80億円
  • 影響を受けた債権者:約4万6000人

2022年の破産事例

脱毛ラボ(2022年8月破産)

全国に80店舗以上を展開していた「脱毛ラボ」を運営する株式会社セドナエンタープライズが破産手続きを開始しました。

過剰な値引きと莫大な広告投資により債務超過の状態が続いていたところ、2022年3月に消費者庁から景品表示法違反による措置命令を受けて信用問題に。資金繰りが急速に悪化しました。

  • 負債総額:約60億円
  • 影響を受けた顧客:約3万人

脱毛サロンの破産はなぜ起こるのか


脱毛サロンの破産が起きる原因として、次のものが挙げられます。

それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

前受金ビジネスモデルの限界

脱毛サロンの破産が起きる最大の理由として、前受金ビジネスモデルの限界が挙げられます。

前受金とは、サービスを提供する前に顧客から先払いで受け取るお金のことです。脱毛サロンの多くは、全身脱毛のコース契約などで数十万円を先に受け取る仕組みになっています。サロン側から見れば、施術を行う前にまとまった現金が手に入るため、効率的な資金調達手段に映ります

しかし、ここに大きな落とし穴があります。会計上、前受金は将来のサービス提供義務に対する「負債」として計上しなければなりませんが、実際には現金として手元に残るため、新店舗の開設や多額の広告費に充てることが可能なのです。

新規顧客が順調に増えている間は問題ありません。新しい前受金が次々と入ってくるため、既存顧客への施術費用や固定費を賄えます。ところが、ひとたび集客が減速すると、新たな前受金が入ってこなくなります。一方で、既存顧客にサービスを提供する義務は続くため、家賃や人件費、設備費といった固定費はかかり続けるのです。

結果として、新規の前受金を得なければ固定費を支払えない「自転車操業」に陥ります。そして、新規顧客が集まらなくなった時点で資金が尽き、事業継続が不可能になってしまうのです。実際、倒産した大手サロンの多くが、この前受金ビジネスモデルの構造的な問題から抜け出せませんでした。

広告費や設備投資コストの高騰

広告費や設備投資コストの高騰も脱毛サロンの破産が起きる理由です。

競合が増えたことで集客の争いが激しくなり、広告費が高騰。その結果、新規の顧客を集めるために必要なコストが増え、サロンの負担が大きくなっています。

また、高性能な脱毛器の導入や店舗の内装・拡張などにかかる設備投資の負担も重く、経営を圧迫する要因に。これらのコスト増が原因で破産に至るケースも少なくありません。

過度な価格競争

脱毛サロン業界では、競合の増加により過度な価格競争が起きています。

多くのサロンが顧客獲得のために料金を引き下げた結果、利益率が低下し、経営を圧迫しているのです。

特に、過度な値下げ戦略は収益性を損なう要因となり、キャッシュフローが悪化して破産に至るケースが増加しています。

人材不足と離職率の増加

人材不足と離職率の増加も、脱毛サロンの破産が起きる大きな要因です。

給与の低さや昇給の少なさ、長時間労働といった待遇面の課題に加え、シフト制の厳しさや休憩が取れない過酷な労働環境が離職の一因となっています。

また、女性スタッフが多い職場ならではの人間関係のストレスや、厳しいノルマによる精神的・身体的な負担も重なり、スタッフの定着が難しい状況です。

その結果、人材の確保や育成が追いつかず、慢性的な人手不足に悩まされているサロンも少なくありません。

コンプライアンス違反や評判の悪化

コンプライアンス違反やそれに伴う評判の悪化は、脱毛サロンの破産に直結する重大な問題です。

たとえば、医師の資格を持たないスタッフがレーザー脱毛など医療行為に該当する施術を行った場合、医師法第17条に違反する可能性があり、行政処分の対象となります。

また、実際のもの以上に効果を強調する誇大広告も、消費者を誤認させる行為として法律で厳しく規制されています。

これらの違反行為が発覚すると、営業停止や罰金などの処分が科されるだけでなく、SNSや口コミなどを通じて悪評が広まり、顧客離れを招く原因にもなるのです。

脱毛サロンを破産させないためには?


脱毛サロンを破産させないためには、次のような対策が必要です。

適正な価格設定をする

脱毛サロンの経営を安定させ、破産を防ぐためには、適正な価格設定が欠かせません。

開業時には集客を意識するあまり、競合より安い料金を設定してしまうケースも多いですが、必要以上に価格を下げると原価を回収できず、経営が行き詰まるリスクがあります。人件費や光熱費、脱毛機器の維持管理費などをしっかり計算し、持続可能な価格を設定することが重要です。

また、サービスの質に見合った価格にすることで、顧客の信頼も得られやすくなります。価格が安すぎると品質に不安を抱かれる一方、高すぎると集客が難しくなるため、バランスの取れた料金設定を行うようにしましょう。

コストパフォーマンスの高い脱毛機器を導入する

コストパフォーマンスの高い業務用脱毛機を導入することも、脱毛サロンの破産を防ぐための重要な要素といえます。初期費用だけでなく、ランニングコストや施術効率、スタッフの負担軽減までを視野に入れて選定することが大切です。

たとえば、照射ヘッドの面積が小さい機器は施術時間が長くなり、回転率が下がるうえにスタッフの疲労も増加し、離職率の上昇や人件費の増加につながるリスクがあります。「1ショット〇円」といった表面的な価格に惑わされず、照射面積やメンテナンスコストなども含めたトータルコストで比較検討をするようにしましょう。

また、サロンのニーズに適した機種を選ぶことも求められます。信頼できる販売担当者との関係を築き、丁寧な説明を受けたうえで導入を進めることが、長期的な経営安定につながります。

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口コミや評判の悪化を予防する

脱毛サロンを経営するうえで、口コミや評判の悪化を予防することはとても大切です。特にSNSやレビューサイトでのネガティブな投稿は、集客に直接的な悪影響を及ぼすことがあります。

トラブルを防ぐためには、カウンセリング時に施術の内容や効果、リスク、料金などを丁寧かつ正確に説明し、必ず書面で同意を得ることが必須です。

さらに、施術後のアフターケアやクレームへの対応も迅速に行い、顧客の不満を放置しない姿勢が信頼の維持につながります。

また、ネット上の口コミや評判を定期的にチェックすることも重要。リアルタイムに情報を把握することで、サービスの低下やスタッフへの不満などネガティブな評価を早期に確認できます。

日頃の対応と情報収集が、信頼されるサロンづくりの土台となるのです。

利用者が倒産トラブルに巻き込まれないための5つのポイント

サロンを利用する側にとっても、倒産リスクを見極めて被害を回避することは重要です。ここでは、安心して通えるサロン・クリニック選びのポイントを解説します。

極端な値下げや頻繁なキャンペーンに注意

相場よりも極端に安い料金設定や、頻繁に大幅値引きキャンペーンを行っているサロンは要注意です。これは新規顧客からの前受金に過度に依存し、自転車操業に陥っている可能性があります。

過剰な広告展開をチェック

テレビCMやSNS広告を頻繁に見かけるサロンは、多額の広告費を投じている可能性があります。広告費の高騰が経営を圧迫し、倒産リスクを高めている場合もあるため注意が必要です。

口コミで「予約が取れない」「勧誘がしつこい」という声が多くないか確認

予約困難や強引な勧誘は、経営悪化のサインです。新規獲得に偏り人手不足に陥っている、または高額契約で資金繰りを維持しようとしている可能性があります。

都度払いや必要最低限の回数コースを選ぶ

倒産時のリスクが最も低いのは、施術ごとに料金を支払う「都度払い」です。コース契約をする場合は、必要最低限の回数に留めることで、万が一の被害を最小限に抑えられます。

支払いはクレジットカード分割払いかローンを利用

コース契約を行う場合、現金やクレジットカードの一括払いは避け、分割払いやローンを利用しましょう。サロンが倒産した場合、「支払停止の抗弁」という権利を行使して、未提供サービス分の支払いを停止できる可能性があります。

万が一通っているサロンが倒産した場合の対処法

十分注意していても、通っているサロンが突然倒産してしまう可能性はゼロではありません。ここでは、万が一倒産に遭遇した場合に取るべき対処方法を解説します。

契約書と支払い履歴を確認する

まず、契約書の内容を確認しましょう。契約金額、契約日、倒産時の対応方針、前受金の保全措置などが記載されているはずです。また、支払い履歴(領収書、クレジットカード明細など)も保管しておきましょう。これらは後の手続きで重要な証拠書類となります。

クレジットカードで分割払い中の場合は速やかにカード会社へ連絡

クレジットカードの分割払いやローンで支払っている場合は、速やかにカード会社に連絡し、「支払停止の抗弁」の手続きを行いましょう。この権利を行使することで、未提供のサービス分について支払いを停止できる可能性があります。

破産管財人宛に債権届出書を提出する

サロンが破産手続きを開始すると、破産管財人が選任されます。未消化の施術代金を債権として認めてもらうため、破産管財人宛に債権届出書を提出しましょう。届出期間は通常、破産手続開始から2ヶ月以内です。届出には契約書や領収書などの証拠書類の添付が必要です。

ただし、破産手続きでは税金や従業員の給料など「優先債権」への支払いが優先されるため、利用者への返金は後回しになり、返金されないケースがほとんどです。

消費者ホットラインや弁護士に相談

返金に応じてもらえない、手続きが分からないといった場合は、国民生活センターの消費者ホットライン(188)に相談しましょう。また、弁護士に相談することで、債権回収の手続きや交渉を代行してもらえる場合もあります。

救済プランを提供しているサロン・クリニックを探す

倒産後、一部の脱毛サロンや医療脱毛クリニックが救済プランを提供するケースがあります。倒産したサロンの契約書を持参することで、割引価格で施術を継続できる場合があります。倒産が報じられた際は、救済プランの情報を探してみましょう。

脱毛サロンの破産を防ぐには原因と対策を知ることが大切

脱毛サロンの破産を防ぐためには、原因と対策を知ることが大切です。

前受金ビジネスのリスクや広告・設備投資の負担、スタッフの離職や人手不足、コンプライアンス違反など、経営の不振を引き起こす理由はさまざまです。リスクの低減には、無理のない価格設定やコストパフォーマンスに優れた脱毛機の導入、質の高いサービス提供や丁寧な顧客対応などが欠かせません。

原因と対策をしっかり理解し、地に足のついた経営を心がけて、安定したサロン運営を目指しましょう。