少子化の進む日本でも、Z世代は、これからのマーケティングターゲットとして注目されています。エステサロンでも、顧客やスタッフとしてZ世代を取り込むことには、さまざまなメリットがあります。

そこで今回は、エステサロンがZ世代を取り込むべき理由と、そのメリットについて解説します。Z世代向けのマーケティングについてもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

Z世代とは


Z世代は、1990年代半ばから2010年代前半に生まれた世代を指すのが一般的ですが、明確な定義はありません。彼らは、生まれたときからインターネットやスマートフォンが身近にあるデジタルネイティブで、SNSや動画コンテンツに慣れ親しんでいるのが特徴です。

情報収集には検索エンジンよりもSNSを使うことが多く、従来の広告よりも、共感やリアルな体験談に価値を置く傾向があります。また、価値観も多様で、モノやサービスを選ぶ際には、価格や品質だけでなく、その背景にあるストーリーや世界観、ブランドの姿勢を重視することが多いです。

エステサロンがZ世代に注目すべき理由

エステサロンがZ世代に注目すべき理由は、将来的にブランドのファンになり得る存在であり、かつSNSによる拡散力を持っているためです。Z世代は、美容への関心が高く、早い段階からスキンケアやボディメイクに取り組む傾向があります。

それをInstagramやTikTokで自発的に投稿してくれるため、サロン側の集客につながるケースも少なくありません。また、若いうちにリピーター化すれば、長く通ってくれる可能性があり、LTV(顧客生涯価値)の観点からも重要な世代だといえます。

顧客としてZ世代を取り込むメリット

まずは、Z世代を顧客として取り込むメリットを見ていきましょう。

集客力が向上する

Z世代はSNSの利用時間が長く、投稿・シェアの頻度も高いため、サロンに来店した体験を自ら拡散してくれる広告塔のような存在になります。とくに、「映える」「ストーリー性がある」と感じた体験は、InstagramやTikTokなどでシェアされ、フォロワーを通じて新たな潜在顧客へと波及しやすいです。

また、Z世代の発信力は同世代だけでなく、上の世代にも影響を与える場合があります。たとえば、「娘にすすめられて来た」「TikTokで見かけた」といった声があるように、彼らを起点に幅広い世代への認知拡大が可能です。

トレンド感覚を把握できる

Z世代の声を聞くことで、サロン経営において重要な「トレンド感覚」を取り入れることができます。Z世代は、最新の美容アイテム、ケア方法、SNSで話題のビジュアル表現などに敏感です。

また、彼らのフィードバックには「もっとこうだったらいいのに」といった改善への視点も含まれているので、サービス向上に役立つ貴重なヒントを与えてくれるでしょう。Z世代の感性を取り入れることは、単なる若者向けの施策にとどまらず、サロン全体のアップデートや差別化戦略にもつながります

長期的な顧客育成につながる

Z世代を早い段階で顧客として取り込むことは、長期的な関係の構築、ひいては安定した売上の確保につながります。彼らはスキンケアやボディメンテナンスに対する意識が高く、自分磨きを「自己肯定感を高めるための投資」と考える傾向があります。

このような価値観を持つ若年層に、満足度の高いサービスを提供すると、そのまま20代後半、30代とライフステージが変わっても通い続けてくれる可能性が高いです。また、就職、結婚、出産などのライフイベントに応じて、別のニーズも生まれるため、それらに対応できれば、継続利用と単価アップの両方が見込めます。

スタッフとしてZ世代を取り込むメリット


Z世代は、スタッフとしても強力な戦力になり得ます。以下、スタッフとしてZ世代を取り込むメリットを解説します。

デジタルネイティブの感覚やスキルが活用できる

Z世代は、子どもの頃からスマートフォンやSNSに親しんできたデジタルネイティブです。彼らは、以下のようなことを日常的にこなしており、サロンの広報や集客面で非常に大きな戦力になります。

  • 写真や動画の撮影・編集
  • SNSへの投稿
  • ライブ配信 など

また、SNS映えを感覚的に理解しており、サロンの装飾、お客様とのコミュニケーションなどにトレンド感を反映できるのもZ世代の強みです。

こうしたスキルは、サロンのブランディング強化や若年層の集客に直結します。Z世代は、エステティシャンとしてだけでなく、情報発信の担い手としても期待できる存在です。

柔軟な発想と提案力が得られる

Z世代のスタッフは、自由で柔軟な発想を持っていることが多く、新しいサービスやメニューのアイデアが生まれやすいのが特長です。たとえば、推し活やSDGsに絡めるような、同世代の価値観・ニーズを反映させた企画を提案してくれるかもしれません。

トレンドを捉えた提案は、単なるスタッフからの意見にとどまらず、サロンの競争力を高める源になります。オーナーやマネージャーが気づかない視点を補い、変化の激しい美容業界の中で、時代に合ったサロンづくりの実現に役立つでしょう。

新しい働き方を取り入れるきっかけになる

Z世代の多くは、長時間労働や年功序列といった価値観に縛られず、「自分のペースで働ける環境」「プライベートとの両立」などを重視します。これは、一見ハードルが高いように感じますが、見方を変えればサロンの働き方を見直すきっかけになるかもしれません。

たとえば、次のような新しい労働スタイルの導入によって、人材の多様性を確保できる柔軟な職場環境が生まれます。

  • 短時間勤務
  • 週休3日制
  • 歩合制
  • 副業OK など

こうした環境整備は、Z世代に限らず、すべてのスタッフにとっても魅力となり、離職率の低下や採用力の強化にもつながります。Z世代の価値観に合った働き方を取り入れることで、時代に合った運営スタイルになり、より多くの人が働きやすい場所になるでしょう。

Z世代向けのマーケティング手法


Z世代に向けたマーケティングは、従来の方法と分けて考える必要があります。SNSを活用し、より共感を得られるサービスを提供しましょう。

SNSマーケティング

Z世代に向けたマーケティングでは、次のようなSNSの活用が必須です。

  • Instagram
  • LINE
  • YouTube
  • X
  • TikTok

独自コンテンツの配信はもちろん、インフルエンサーやクリエイターとの連携も有効です。たとえば、地域密着型のサロンであれば、地元で活動する美容系インフルエンサーに体験してもらうことが考えられます。

また、TikTokでのライブ配信や、お客様のビフォーアフターを紹介するインスタ投稿なども効果的です。Z世代は、広告らしさに敏感なため、「リアルな体験」や「裏側のストーリー」を届けて、共感を得ましょう。

ストーリーの提供

Z世代は「モノ」よりも「コト(体験)」に価値を見出す傾向があります。そのため、ストーリーや限定感のある体験キャンペーンが効果を発揮するでしょう。

たとえば、「推し活応援デー」と題して、推しカラーに合わせた施術ルームや、推し色ドリンクを提供するなど、Z世代のライフスタイル・趣味と掛け合わせた体験の演出が考えられます。Z世代は、体験のストーリーを共有したいという意識が強いため、SNS映えする空間設計や、シェアしたくなるようなネーミングも効果的です。

スポンサーシップ

Z世代は、社会的な意義や、共感できる理念に対する関心も強く、応援する企業やブランドを意識的に選ぶ傾向があります。そのため、ただ広告を出すだけでなく、Z世代が関わるイベントやコミュニティへ、スポンサーとして関わるのも効果的です。

たとえば、地域の学生サークル、美容に関心のあるZ世代向けイベントに協賛し、施術体験ブースを提供したり、割引クーポンを配布したりするなどの関与が考えられます。ブランドがその世代の価値観を理解し、支援しているという姿勢を見せることで、単なる企業ではなく、「推せる存在」として認識されやすくなるでしょう。

エステサロンにZ世代を取り込もう

長期的な顧客の獲得や、エステサロンに新しい価値観を取り入れるために、Z世代は無視できない存在です。デジタルネイティブであるZ世代は、拡散力の高いお客様としても、発信力のあるスタッフとしても活躍してくれるでしょう。

Z世代に適したマーケティングを行い、その価値観を柔軟に取り込むことがこれからのサロン運営には必要です。