サロン開業を検討される際、業務用脱毛機の導入は大きな投資となります。「購入費用はどのように処理すればいいの?」「減価償却って何?」「節税効果はあるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
業務用脱毛機の購入費用は、減価償却という会計処理によって複数年にわたって経費計上することができ、適切に処理することで節税効果も期待できます。本記事では、サロン経営者が知っておくべき業務用脱毛機の減価償却について、基礎知識から具体的な計算方法まで詳しく解説します。
もくじ
業務用脱毛機の減価償却とは

減価償却とは、高額な設備や機器を購入した際に、その購入費用を一度に経費として計上するのではなく、複数年にわたって分割して計上する会計処理方法です。業務用脱毛機のような高価な設備は、この減価償却の対象となります。
サロン経営において業務用脱毛機の導入は大きな初期投資となりますが、減価償却を活用することで税務上のメリットを得ながら、長期的な視点での経営計画を立てることが可能になります。
減価償却が必要な理由
仮に300万円の業務用脱毛機を購入し、その全額を購入年度に経費計上したとします。すると、購入年度は大きな赤字となり、翌年以降は脱毛機の費用負担がないため利益が急激に増加することになります。
このような会計処理では、実際のサロン経営の実態を正しく反映できず、金融機関への融資申請や税務申告において不適切となってしまいます。減価償却により購入費用を使用期間に応じて分割計上することで、各年度の経営状況をより正確に把握できるのです。
減価償却の基本的な考え方
減価償却は、「資産の価値は時間の経過とともに減少していく」という考え方に基づいています。業務用脱毛機も使用により消耗し、技術の進歩により相対的な価値が下がっていくため、その価値の減少分を毎年の経費として計上するのが減価償却です。
業務用脱毛機の法定耐用年数
業務用脱毛機の減価償却を行うために最も重要な要素が「法定耐用年数」です。これは国税庁が定めた、各種資産を何年で減価償却するかの基準となる年数です。
業務用脱毛機の耐用年数は5年
国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」によると、業務用脱毛機は「器具・備品」の「理容又は美容機器」に分類され、法定耐用年数は5年と定められています。
この5年という期間で、業務用脱毛機の購入費用を分割して経費計上することになります。ただし、法定耐用年数はあくまで税務上の基準であり、実際の使用可能年数とは異なる場合があります。
適切にメンテナンスされた業務用脱毛機は、法定耐用年数を超えても問題なく使用できることが多く、実際の耐久年数は7〜10年程度と言われています。
耐用年数と耐久年数の違い
「耐用年数」と「耐久年数」は混同されやすいですが、明確な違いがあります。耐用年数は国税庁が税務処理のために定めた会計上の使用期間であり、業務用脱毛機の場合は一律5年です。一方、耐久年数はメーカーが実際の使用可能期間として設定する目安であり、機種によって異なります。
減価償却の計算には必ず法定耐用年数を使用する必要があり、メーカーが表示する耐久年数を用いることはできません。
減価償却の計算方法

業務用脱毛機の減価償却費を計算する方法には、主に「定額法」と「定率法」の2つがあります。それぞれの特徴と計算方法について詳しく解説します。
定額法による計算
定額法は最もシンプルで一般的な減価償却方法で、毎年同じ金額を減価償却費として計上します。計算式は以下の通りです。
- 年間減価償却費 = 取得価額 ÷ 耐用年数
例えば、300万円の業務用脱毛機を定額法で減価償却する場合は以下のような計算となります。
- 1年目 60万円(300万円 ÷ 5年)
- 2年目 60万円
- 3年目 60万円
- 4年目 60万円
- 5年目 59万9,999円(備忘価額1円を残す)
5年目に1円を残すのは、減価償却完了後も資産が存在することを示すためです。この1円は「備忘価額」と呼ばれます。
定率法による計算
定率法は、年度初めの未償却残高に一定の償却率をかけて減価償却費を計算する方法です。初年度の償却額が最も大きく、年を追うごとに償却額が減少していきます。
業務用脱毛機(耐用年数5年)の償却率は0.4(40%)です。例えば、300万円の業務用脱毛機を定率法で減価償却する場合は以下のような計算となります。
- 1年目 120万円(300万円 × 0.4)
- 2年目 72万円(180万円 × 0.4)
- 3年目 43万2,000円(108万円 × 0.4)
- 4年目以降 保証額の範囲内で計算
定率法は計算が複雑になるため、税理士への相談をおすすめします。
どちらの方法を選ぶべきか
定額法は計算がシンプルで、毎年同じ額の経費計上により安定した経営計画を立てやすいメリットがあります。一方、定率法は初年度により多くの減価償却費を計上できるため、購入初年度の節税効果が高い特徴があります。
しかし、一度選択した償却方法は原則として変更できないため、サロンの経営戦略や税務状況を考慮して慎重に選択する必要があります。
減価償却が節税に与える効果
業務用脱毛機の減価償却は、適切に活用することで大きな節税効果をもたらします。その仕組みと効果について詳しく解説します。
課税所得の圧縮効果
減価償却費は経費として計上されるため、その分だけ課税所得を圧縮する効果があります。個人事業主の場合、所得税率は所得金額に応じて5%〜45%の累進税率が適用されるため、所得を抑えることで税率の軽減も期待できます。
青色申告特別控除との相乗効果
個人事業主が青色申告を行う場合、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。減価償却費の計上と合わせることで、さらに大きな節税効果を得ることが可能です。
青色申告では、減価償却費の計算も含めた正規の簿記による記帳が必要となりますが、その分税務上のメリットは非常に大きくなります。
法人化のタイミングと減価償却
サロン経営が軌道に乗り、年間所得が一定額を超える場合は、法人化を検討することもあります。法人の場合、減価償却費は必ず計上しなければならない強制償却となるため、個人事業主とは処理方法が異なります。
法人化のタイミングと減価償却の関係についても、税理士に相談することで最適な選択ができるでしょう。
業務用脱毛機の税務処理における注意点
業務用脱毛機の減価償却を適切に処理するために、押さえておくべき重要な注意点があります。
取得価額に含めるべき費用
減価償却の基準となる「取得価額」には、業務用脱毛機本体の価格だけでなく、以下の付随費用も含める必要があります。
- 配送費・運搬費
- 設置工事費
- 購入手数料
- 保険料
- 関税や消費税(税込経理の場合)
これらの費用を漏れなく取得価額に含めることで、より多くの減価償却費を計上でき、節税効果を最大化できます。
事業供用開始日の重要性
減価償却は、業務用脱毛機を実際に事業で使用開始した日から計算を始めます。購入日と使用開始日が異なる場合は、使用開始日を基準とする必要があります。
年の途中で導入した場合は、使用開始日から年末までの月数に応じて按分計算を行います。例えば、7月に導入した場合は6ヶ月分(7月〜12月)の減価償却費を計上します。
修繕費との区別
業務用脱毛機のメンテナンスや修理費用は、減価償却費ではなく「修繕費」として一括で経費計上します。ただし、機能を大幅に向上させる改良工事費用は資本的支出として減価償却の対象となる場合があります。
この判断は複雑なため、高額なメンテナンス費用が発生した場合は税理士に相談することをおすすめします。
中古脱毛機の耐用年数
中古の業務用脱毛機を購入した場合、耐用年数の計算方法が新品とは異なります。中古資産の耐用年数は、法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数となります。
- 法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数 + 経過年数 × 20%
しかし、計算結果が2年未満となる場合は2年として扱います。
リースと購入の減価償却への影響
業務用脱毛機の導入方法として、購入以外にリースという選択肢もあります。リースと購入では税務処理が大きく異なるため、その違いを理解しておくことが重要です。
購入の場合の税務処理
業務用脱毛機を購入した場合は、前述の通り減価償却により5年間で経費計上を行います。初期投資は大きくなりますが、資産として計上され、償却完了後も継続して使用できます。また、購入の場合は投資税額控除や特別償却などの税制優遇措置を受けられる可能性もあります。
リースの場合の税務処理
リース契約の場合、毎月のリース料を支払時に全額経費として計上できます。減価償却の計算は不要で、経理処理が簡単になる利点があります。
ただし、リース料総額は購入価格より高くなることが一般的で、長期的なコストは購入より高くなる場合があります。
ファイナンスリースとオペレーティングリース
リース契約には「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」があり、それぞれ会計処理が異なります。
ファイナンスリースは、リース期間が法定耐用年数の75%以上など一定の条件を満たす場合で、会計上は購入と同様に資産計上し、減価償却を行います。オペレーティングリースは、リース料を支払時に経費計上する一般的なリース契約です。
業務用脱毛機の減価償却に関するよくある質問

業務用脱毛機の減価償却に関するよくある質問にお答えします。
Q. 中古で購入した業務用脱毛機の耐用年数はどうなりますか?
中古の業務用脱毛機の耐用年数は、法定耐用年数(5年)から既に経過した年数を差し引いて計算します。ただし、計算が複雑になるため、税理士に相談することをおすすめします。最短でも2年間は減価償却期間となります。
Q. 業務用脱毛機を廃棄した場合の処理はどうなりますか?
減価償却期間中に業務用脱毛機を廃棄した場合、未償却残高は「固定資産除却損」として特別損失に計上できます。これにより、廃棄年度に一括で経費計上することが可能です。
Q. 個人事業主から法人成りした場合、減価償却はどうなりますか?
個人事業から法人に移行する際、業務用脱毛機などの資産を法人に引き継ぐ場合は、引き継ぎ時点での帳簿価額(未償却残高)を基に、残りの耐用年数で減価償却を継続します。ただし、処理が複雑になるため、必ず税理士に相談してください。
Q. 複数台の脱毛機を同時購入した場合の処理方法は?
複数台を同時購入した場合でも、各々を独立した資産として減価償却を行います。同じ機種であれば同じ条件で計算できますが、異なる機種の場合はそれぞれの取得価額に基づいて個別に計算する必要があります。
Q. 減価償却費を計上しなかった場合のペナルティはありますか?
減価償却費を適切に計上しなかった場合、所得が過大に計上され、本来より多くの税金を納めることになります。また、税務調査で指摘された場合は修正申告が必要となり、延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。
適切な減価償却処理でサロン経営を安定させよう
業務用脱毛機の減価償却は、サロン経営において適切な会計処理と節税対策を実現するための重要な知識です。法定耐用年数5年を基準とした減価償却により、購入費用を分割して経費計上することで、各年度の経営状況を正確に把握し、税務上のメリットも得られます。
定額法と定率法の選択、リースと購入の比較、中古機器の特別な計算方法など、多くの選択肢と注意点がありますが、それぞれの特徴を理解して最適な方法を選択することで、長期的なサロン経営の安定化につながります。
複雑な税務処理については無理をせず、税理士などの専門家に相談することも重要です。適切な減価償却処理により、健全なサロン経営と効果的な節税を両立させ、理想のサロン運営を実現してください。
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