エステサロンを経営するにあたり、重要な課題の一つが教育です。十分なスキルを持ったエステティシャンが何人も所属しているエステサロンは、顧客満足度が高く、安定した経営が可能になります。

ただ、心から信頼できる、一流のスタッフを育成するのは容易なことではありません。これから新しくスタッフを雇用していく、あるいはまだ雇用し始めたばかりという場合には、どのように教育していけばいいか、困惑してしまうでしょう。

本コラムでエステサロンの教育について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

サロンスタッフの教育が大切な理由

エステサロンのようなサービス業では特に教育が重視されますよね。ではその理由は何なのか、あらためて理解しておきましょう。

主に以下の3つの理由に分けられます。

  • 生産性が向上する
  • サロン理解が深まる
  • 離職率が下がる

生産性が向上する

教育の主な目的は、エステティシャンのスキルを伸ばし、サロン全体の生産性を向上させることです。

  • 手早く仕事できるようになる
  • より高品質な接客ができるようになる

など、適切な教育を施すことで、多くの点で仕事の質や効率アップに繋がります。

また、エステサロンでは顧客のリピート率が非常に重要です。ファンを増やし、何度も足を運んでもらうことで、安定して高い利益を出し続けることができるでしょう。

サロン理解が深まる

スキルを伸ばすと同時に、エステサロンのことを理解してもらうのも教育の大きな目的です。

同じエステサロンに所属しているとしても、エステティシャンになった理由や、仕事に対する考え方は各々異なります。教育により、サロンのコンセプトや経営方針を浸透させることで、スタッフ間のギャップをなくし、一体感を出すことができるでしょう。

また、エステサロンの強みと弱みを理解することで、競合との差別化の意識を持つことができます。お客様と接する時もどのようなコミュニケーションが適切か判断できるようになるでしょう。

離職率が下がる

離職率が低いほど、平均勤続年数が伸びるため、スタッフ全体のスキルやサロン理解も申し分なく、安定した布陣で経営できるようになります。反対に、スタッフの入れ替わりが激しいと、いつになっても経営は不安定なままであり、サービス品質も下がってしまう恐れがあります。

エステサロンが成長するためには、スタッフ一人ひとりが成長することが重要です。そのためにも正しい教育を施すことで、職場に愛着を持ってもらい、離職率の低下を図りましょう。

エステサロンのスタッフに求められるスキルとは?

ちなみに、エステサロンのスタッフにはどのようなスキルが求められるのでしょうか。一つひとつ挙げるとキリがありませんが、大まかに以下の3つに分類することができます。

  • 専門分野や人の体に関する知識
  • 効率良く施術を行う技術
  • 顧客満足度を上げるコミュニケーション能力

健全なサロン経営を長く続けるためには、これらのうち1つでも欠かすわけにはいきません。こちらのコラムで詳しく解説しているので、良ければご覧ください。

教育の前に行うべきこと

より効率良く指導するためにも、事前にやっておかなければいけないことがいくつかあります。特に以下の項目は欠かさないようにしましょう。

  • スタッフの現状を把握する
  • 教育の意味を伝える
  • 教育のゴールを定める

スタッフの現状を把握する

教育のマニュアルをあらかじめ作成しておくと、新人教育もスムーズに運べるでしょう。しかし、あくまで適切な教育は一人ひとり異なります。そのため、まずは教育の対象であるスタッフの現状を把握しておきましょう。

  • どれほどのスキルが身に付いているか
  • どのような分野に向いているか
  • 成長するためにどのような課題があるか

以上のことを確認する必要がありますが、成長スピードにはどうしても個人差があります。どのような教育をどれほどのペースで行っていけばいいのか、まずは現時点の状態や本人の資質を把握した上で計画を立てましょう。

教育の意味を伝える

早く成長するためには、多くの時間をかけたり、実戦に近い経験を積むことも大切ですが、まずはなぜその教育を行うかを理解してもらう必要があります。

指導する側は指導される側のためを思って行動していても、当の本人はその本質を理解していないということは決して珍しくありません。個人やサロンにどのようなメリットがあるのかを理解してもらうことで、モチベーションも向上します。

教育のゴールを定める

教育の意味を伝えるだけでなく、ゴールを定めることも大切です。そうすることで、スタッフはより具体的な目標に向かって成長していくことができます。

ゴールは期間を分けて複数設定するのが望ましいです。いきなり遠すぎるゴールだけだと実感がわかないので、短期、中期、長期の目標をそれぞれ設けましょう。

サロンスタッフの教育期間はどれくらい必要?

一般的に、新人エステティシャンが1人で施術を行えるようになるまでには、半年〜1年ほどの期間がかかります。

研修期間はどうしてもサロンの基本的なことを学んだり、雑務などが中心になってしまいます。ただ、ある程度業務に慣れれば先輩エステティシャンのサポートなどもできるようになり、徐々に戦力になっていくでしょう。

そして、早い場合だとおよそ半年ほどで施術を任せられるようになります。サービスの内容にもよりますが、知識や技術、コミュニケーション能力がある程度身に付いた後は、実戦経験を重ねていくのが効果的です。

スタッフ教育には2種類ある

サービス業に限らず、スタッフの教育方法には

  • OJT
  • Off-JT

の2種類があります。これらを上手く使い分けることで、より効率的にエステティシャンを育てることができるでしょう。

OJT

まずOJTとは、「On the Job Training」の略で、「職場内での訓練」という意味を持っています。先輩や上司の指導を受けつつ、実務を通してスキルを身に付けるのが一般的です。

ただし、あくまで教育内容はそのエステサロンの風習に帰属する傾向にあります。指導方法によっては汎用性を欠き、偏った知識や技術が身に付いてしまうリスクがあります。

Off-JT

Off-JTはOff the Job Trainingの略で、OJTとは反対に、職場外での訓練を指します。

わかりやすい例はセミナーや講座です。外部講師の話を聞くことで、普段職場では教えられないような普遍的な知識を身に付けられる点がメリットで、年々その重要性が高まっています。

ただ、OJTとは違い、教育する側から教育を受ける側に対して一方的な指導になってしまうことが多いです。まんべんなくスキルを伸ばしていくためには、Off-JTでインプットしたスキルを、OJTでアウトプットするというのが理想的な流れだと言えるでしょう。

エステサロンにおける教育例

次にエステサロンにおける具体的な教育例を紹介していきます。あくまで基本的な例ではありますが、良ければ参考にしてみてください。

新入社員研修

入社したばかり、特に未経験者には新入社員研修を行うことをおすすめします。

  • 言葉遣いや服装といった接客の基礎
  • 専門分野に関する知識
  • クレーム対応
  • その他の雑務

など、まずは最低限身に付けておかなければいけないスキルや、ハードルが低い業務から始めましょう。

ロールプレイングを実施する

実際にお客様に施術を行う前に、何度もロールプレイングを重ねておくのが望ましいです。

ロールプレイングとは、スタッフ同士で行う疑似体験のようなもので、2人のうちどちらかがお客様側として振る舞うトレーニングです。習得した知識や技術が問われることはもちろん、本番と同じ流れで施術を行うことで、シミュレーションできるのが大きなメリットだと言えるでしょう。

また、スタッフがお客様側として体験することで、良かった点・悪かった点を感じ取り、本人にフィードバックすることができます。

外部のセミナーや研修に参加する

先ほども触れた通り、外部のセミナーや研修に参加することは、Off-JTの代表例です。普段の職場と全く異なる環境で教育を受けることで、新鮮な経験をたくさん得ることができるでしょう。

ただし、普段エステサロンで働きながら、外部のセミナーや講座に参加することは時間的にも容易ではありません。オーナー側が意図的に機会を設け、参加を促すのが望ましいです。

運営支援を受ける

外部機関の運営支援を受けるというのも有効な手段の一つです。イメージしやすいのはコンサルタントと契約することですが、安くても月額数十万円という、決して安くない費用が発生します。

そこで、これから脱毛サロンを開業する方におすすめなのが、脱毛機メーカーの運営支援を受けるということです。各メーカーに蓄積されているノウハウをもとにした、支援やアドバイスを受けることができます。

ただし、具体的なサポート内容はメーカーによって全く異なります。業務用脱毛機を選ぶ際には、マシンの性能だけでなく、メーカーサポートも比較した上で購入するのをおすすめします。

正当な評価制度を整える

もう一点、スタッフの教育を行う上でとても大切なことは、正当な評価制度を整えるということです。

例え個人経営の小規模なエステサロンであっても、スタッフが成長し、サロンへの貢献度が上がれば、給与などの形が見える状態で還元しなければいけません。その後のスタッフのモチベーションにも繋がるため、早めに制度を確立しましょう。

評価項目は様々ですが、そのスタッフが獲得した契約数や物販の販売額は一つの指標になります。また、資格手当の制度を導入すると、平等に評価できるようになるだけでなく、スタッフが積極的にスキルアップに取り組むようになります。

新人スタッフが健全に成長できる指導を心がけよう

新人教育に難を抱えている会社は多いですが、エステサロンのような負担が大きい接客業では尚更です。サロンオーナーや先輩スタッフは、新人スタッフが健全に成長できるように丁寧に指導してあげましょう。

また、サロン経営を続けていけば、教育指導のノウハウも蓄積されていきます。最初から何もかも上手くやろうと気負うことなく、目の前にある問題を一つひとつ解決していきましょう。