エステサロンにおいて、照明は施術効率の向上や非日常空間の演出などに繋がります。内装やコンセプトと同様、口コミやリピートに大きな影響を与える可能性があり、サロン経営には欠かせない要素の1つです。

そこで今回のコラムでは、エステサロンで使用する照明の選び方や注意点を解説します。照明選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

エステサロンにおすすめの照明の種類

種類 特徴 主な照明
全般照明 部屋全体を照らす
天井に備え付ける
シーリングライト
ダウンライト
ペンダントライト
部分照明 特定の範囲を照らす
壁や床など様々な場所で使用できる
スタンドライト
スポットライト
フットライト
ブラケットライト

照明は、全般照明部分照明の2種類に分類することができます。それぞれの特徴や使用用途を知ることで、施術効率の向上やサロン特有の雰囲気を演出することができます。1つずつ確認していきましょう。

全般照明

  • シーリングライト
  • ダウンライト
  • ペンダントライト

全般照明は全体照明とも呼ばれ、以上の3種類が良く使われています。天井に備え付けられるため、部屋全体を明るく照らすために使用されます。エステサロンでは文字の読み書きが必要な受付や待合室で使われることが多いです。

シーリングライト

シーリングライトとは、一般的な家庭でも使用されている最も馴染みのある照明です。部屋の最も高いところに設置され、メインの照明として使用するのが一般的です。サロンでも受付やカウンセリングルームで使用されることが多いです。

基本的にはどのようなタイプの部屋でも「引っ掛けシーリング」というシーリングライト専用のコンセントが備え付けられているため、特別な配線工事が必要ありません。

ダウンライト

ダウンライトは天井に埋め込まれるように設置される照明です。天井がフラットになるため、目立ちにくく、部屋全体を広く見せることができます。複数の光源を利用するため、陰になる部分が少なく、勉強や作業スペースなどに適しています。

埋め込みには特別な工事が必要なため、一度設置すると簡単に取り外しができない点が難点です。

ペンダントライト

ペンダントライトはサスペンダーやドロップライトとも呼ばれ、天井や梁に吊り下げるタイプの照明です。吊り下げる高さを調節することで、明るさや陰影など、部屋の雰囲気を変えることができます。また、照明自体のデザインが豊富なため、インテリアの1つとしても親しまれています。

また、ダクトレールと呼ばれるバー状の配線器具を取り付けると、複数のペンダントライトを取り付けることができ、おしゃれな空間を演出することができます。

部分照明

  • スタンドライト
  • スポットライト
  • フットライト
  • ブラケットライト

部分照明は、局所照明や補助照明とも呼ばれ、以上の4つに分類することができます。特定の範囲を照らす特徴があり、細かい作業をする際やインテリアを強調させたい時など、使用用途は様々です。

スタンドライト

スタンドライトは、光源となるライトの部分とそれを支える台で構成されており、一般的に机や床の上に置いて使用されます。照明そのものが独立しているため機動性が高く、寝室の間接照明やリビングルームの補助照明など幅広い用途で使用されます。

スポットライト

スポットライトは、対象物を集中的に照らす照明で、美術館の絵や彫刻などを際立たせる際に使用されます。サロンでは、施術する部位を見やすくする目的や、インテリアを強調させる際に使用されるのが一般的です。

基本的には壁や天井に掛けるタイプが多いですが、レールに付けるタイプや首が動くものなど機動力の高い照明にすることで、施術効率を向上させてくれるでしょう。

フットライト

フットライトは、主に足元を照らすための照明で、廊下や階段に設置されます。近づくと点灯するセンサータイプにすれば、必要のないときは目立たないので、サロンの雰囲気を邪魔することもありません。

ベッドサイドに設置したり、色や明るさにこだわることで、リラックス効果やサロンの特別感も引き出すことができるでしょう。

ブラケットライト

ブラケットライトは、壁に取り付けるタイプの間接照明で、主な使用用途はスタンドライトと同じです。スタンドライトのような機動性はありませんが、床に置かない分場所を取らないので、邪魔になりにくい特徴があります。

光の色味に注意


エステサロンで使用する照明を選ぶ際、照明の種類だけでなく、光の色味も考慮しましょう。光の色が与える効果はそれぞれ異なるため、違いを意識した照明選びが顧客満足度や施術効率の向上に繋がります。

種類 色味 効果
昼光色 青みが強いクールな色 脳を活性化し集中力高める
昼白色 太陽光に近いナチュラルな色 一般的な家庭で使用され、最も馴染みがある
電球色 オレンジ色に近い暖かみのある色 誘眠作用やリラックス効果がある

昼光色

昼光色は太陽よりも青みが強く、比較的冷たい印象を与えます。脳の覚醒を促し集中力を高める効果があるため、オフィスや学習塾などで使用されることが多いです。リラックスとは真逆の効果があるため、施術室での使用は避けましょう。

昼白色

昼光色は太陽光に近い色で、一般的な家庭で最も使用されています。直接的な心理効果はありませんが、誰もが馴染みのある光なので、お客様に不快感や違和感などのネガティブな印象を与えにくいです。

基本的にはどこに使用しても問題ないでしょう。特にこだわりのない場合は昼白色を使用するのが無難です。

電球色

電球色は、オレンジがかった暖かみのある光です。誘眠物質であるメラトニンの分泌を促す効果があり、寝室や間接照明に使用されるのが一般的です。リラックス効果があるので、施術室に使用すると効果的です。

シーンに合わせてライトを選ぶ


これまで説明したように、照明の種類や光の色味によって使用用途や効果は異なります。シーン毎に合わせた照明選びができると、施術効果や顧客満足度の向上が期待できます。

カウンセリングルーム

カウンセリングルームは、お客様から悩みを聞き出す場です。お客様に緊張感や居心地の悪さを感じさせると、話しにくい雰囲気を作ってしまい、悩みに合った施術の提供ができなくなります。馴染みのある昼白色の照明を使用して、安心できる雰囲気作りをしましょう。

電球色を入れることで落ち着いた雰囲気を演出することができ、安心感を演出することができますが、リラックスしすぎもカウンセリングの妨げになるので、むやみに部屋を暗くするのは避けましょう。

施術室

エステサロンに来店するお客様は美容効果に加えて、非日常空間の体験やリラックス効果を求めています。暖かみのある、電球色を取り入れた部屋作りをすると良いでしょう。シーリングライトやダウンライトを使用すると、部屋が明るくなりすぎる可能性があるので、ペンダントライトや部分照明の組み合わせがおすすめです。

ただし、暗すぎると施術ミスに繋がりかねないので、文字が問題なく読めるくらいの明るさは確保しておくと良いです。ベッドサイドにフットライトを備え付けたり、スポットライトでベッドを照らすのも、施術効率の確保に効果的です。

メイクスペース

メイクスペースは、肌質や化粧品の色が良く見えるように、昼白色か昼光色にしましょう。普段化粧をする環境に近づけるために、標準的な明るさにしておくのが無難です。電球色は部屋全体がオレンジ色っぽくなり、肌や化粧本来の色がわからなくなるので避けましょう。

また、シーリングライトやダウンライトだけでは、顔に影ができてメイクしにくくなるので、鏡の近くにブラケットライトやスタンドライトを置くことをおすすめします。

入口や廊下

入口や廊下は、足元が見えやすいようにフットライトの使用がおすすめです。あまり目立たないので、特別こだわる必要はありませんが、電球色はサロンの雰囲気に合わせて選びましょう。

お客様が部屋を識別しやすいように、各部屋の入り口にはスポットライトやブラケットライトを取り付けておくのも効果的です。

洗面所

洗面所の照明は、部屋の規模に合わせて選びましょう。例えば、スペースが広く、メイクスペースを確保できるのであれば、ある程度明るくしておく必要があります。

一方で、マンションの一室や自宅を使用しているサロンでは、広いスペースを確保できないため、メイクスペースを設けることができません。トーンを落としたプライベートな空間を演出するのも良いでしょう。

選ぶ時のコツ


照明の選定以外にも、集客の工夫やスタッフ教育など、エステサロンの経営にはやらなければいけないことがたくさんあります。

ここでは、日々経営で忙しいオーナー様でも、なるべく手間をかけずに選ぶコツをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

照明もインテリアの1つとして考える

1つ目は「照明もインテリアの1つとして考える」ということです。インテリアやスタッフの身だしなみなど、お客様は目に入る全ての要素を無意識に評価しています。照明もそのうちの1つで、デザインへのこだわりを忘れてはいけません。

これまでにご紹介した照明の種類や色にも気を遣いつつ、内装や他のインテリアとの統一感を持った照明を選びましょう。

2種類以上の照明を組み合わせる

2つ目は「2種類以上の照明を組み合わせる」ということです。一般的な家庭と同じ照明では、リラックス効果や非日常感を演出するのは難しいでしょう。

  • スタンドライトとスポットライト
  • ペンダントライトとブラケットライト

このように、2種類以上の照明を組み合わせると、エステサロン特有のおしゃれな雰囲気や高級感を作り出すことができます。複数の光源の利用は陰影をはっきりとさせ、奥行きのある部屋を演出します。ゆったりとした空間を感じさせ、心地よさを印象付けることができるでしょう。

LED電球を選ぶのがおすすめ


エステサロンの照明にはLED電球がおすすめです。省エネで電気代を節約することができ、寿命も長いので約10年くらいは交換しなくても使用できます。販売価格の高さがデメリットと言われることがしばしばありますが、長い目で見ると圧倒的にコストパフォーマンスが高いです。

  • スマートフォンでコントロールできるIoTタイプ
  • 色を変更できるタイプ
  • 無段階で調光できるタイプ

など、近頃は機能や明かりの色が豊富なため、あなたが探している電球を見つけることができるでしょう。

照明にこだわってあなただけのエステサロンを

今回の記事では、エステサロンで使用する照明の種類や選び方を解説してきました。照明選びは、一見すると大したことではないように思われがちですが、エステサロンの成功には欠かせない要素の1つです。

内装デザインやコンセプトの選定と同様に照明選びにこだわり、あなただけの魅力的なエステサロン経営を目指しましょう。