SDGsに取り組むエステサロンが増えるなか、「自社ではどう取り組めるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、エステサロンが取り組めるSDGsについて、詳しく解説していきます。事業との絡め方、具体的な例も紹介しているので、ぜひサロンへ取り入れる際の参考にしてください。

SDGsとは


SDGs(エスディージーズ)は、「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成され、貧困・教育・ジェンダー平等・気候変動など、地球規模の課題に取り組むための共通の指標です。

国や大企業だけでなく、個人、地域の取り組みも重要視されており、最近ではさまざまな業界の事業者が参加しています。環境配慮だけでなく、働き方や地域との関係づくりもSDGsの一部とされており、現代の経営に欠かせない視点のひとつとなっています

エステ業界がSDGsに取り組むべき理由


エステ業界は、健康と美しさを提供する業種として、人々の心身のケアに関わる重要な役割を担っています。これは、SDGsの理念に結びつくため、取り組む意義が大きい分野といえるでしょう。

また、女性スタッフの割合が高い点や、化粧品・消耗品が多く使われることから、さまざまな課題の解決に向けてSDGsに取り組みやすい業界です。サステナビリティへの意識が高いお客様が増えているなかで、SDGsの実践は差別化戦略としても有効に働きます。

エステサロンができるSDGs


エステサロンが取り組めるSDGsは、以下のとおりです。

  • すべての人に健康と福祉を
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 働きがいも経済成長も
  • つくる責任つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう

それぞれ詳しく解説します。

すべての人に健康と福祉を

エステは、肌や身体を美しくするだけでなく、心の安定や体調を整える「予防ケア」の役割も果たします。たとえば、血行を促進する痩身エステや、肌トラブルの解消で自己肯定感を高めるような施術などは、広い意味で福祉の一環といえるでしょう。

また、障害を持つ人やLGBTQ+、外国人への配慮など、誰もが安心して通えるサロンづくりを意識することで、「誰一人取り残さない」というSDGsの本質に近づきます。

ジェンダー平等を実現しよう

エステ業界は、女性スタッフの比率が大きく、ジェンダー平等の推進に貢献しやすい分野です。たとえば、子育て中の女性が働きやすいように時短勤務を導入したり、管理職や独立支援の機会を均等に提供したりすることも具体的な取り組みです。

また、ジェンダーフリーな商品の取扱いやサービスの提供など、さまざまな人が利用しやすい環境を整えることは、より多様な顧客層の受け入れにつながります。

働きがいも経済成長も

エステサロンでは、技術と経験によってキャリアアップできる機会があり、適切な環境が加われば、働きがいのある仕事になります。たとえば、次のような工夫で、スタッフのやる気や成長を後押しできるでしょう。

  • 歩合制と固定給の導入
  • インセンティブ制度
  • 技術・接客マナー研修
  • 資格取得支援
  • 独立サポート など

働きやすく、やりがいも感じられるサロン運営は、スタッフ定着率の向上だけでなく、サロンの成長そのものにもつながります

つくる責任 つかう責任

サロン運営では、化粧品や多くの消耗品を使用するため、「どんな商品を使うか」「どれだけムダを出さないか」という姿勢が、環境への責任に直結します。

たとえば、オーガニック認証を受けた化粧品の採用や、リフィル(詰め替え)対応の導入、使い捨て用品の見直しなどが、具体的な取り組みです。さらに、無駄な梱包資材を省いた仕入れ、在庫管理の最適化による廃棄の削減など、日々の細やかな配慮が求められます

気候変動に具体的な対策を

サロン単位でも、地球環境への配慮は十分可能です。たとえば、次のような行動は、すぐに始められる環境対策になります。

  • 照明をLEDに切り替える
  • 節電モードの空調設備を導入する
  • 店舗の断熱効率を高める などは

また、使用するペーパータオルを再生紙に変更したり、仕入れの配送頻度を見直したりすることも、エネルギーや資源の消費を抑える工夫です。

スタッフ一人ひとりが環境に対する意識を持つことで、日々の行動が変わり、サステナビリティに配慮するサロンとしての信頼を高められるでしょう。

パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsへの取り組みでは、エステサロンが外部とつながることで、より大きなインパクトを生み出せます。たとえば、地元のオーガニックブランドとのコラボ企画、地域イベントへの参加などが考えられます。

また、同じくSDGsに取り組む企業やサロンとの情報交換・共同キャンペーンの実施によって、サステナブルな意識の輪が広がっていきます。共に取り組む姿勢が信頼と共感を生み、結果としてブランド価値向上にもつながっていくでしょう。

【エステサロン】SDGsの注意点


SDGsへの取り組みは、形だけになってしまったり、スタッフの負担になったりといったケースも少なくありません。効果的に実施できるよう、エステサロンがSDGsに取り組む際の注意点を解説します。

小さくても本質的な取り組みをする

SDGsへの取り組みは、規模の大きさや派手さではなく、本質的な目的意識が大切です。たとえば、「使い捨て用品の見直し」「照明のLED化」といった小さな行動でも、サロンの理念や日常業務に根ざした取り組みであれば、それは立派なSDGsの実践です。

無理に多くの目標を達成しようとするのではなく、自分たちの事業に合った目標を選び、継続することが成功のポイントです。

お客様と価値観を共有する

SDGsは、内部的な取り組みにとどまらず、サロンが大切にしていることをお客様に伝えるきっかけになります。Z世代を中心に、社会の課題や環境への関心が高まっている昨今、企業の姿勢を重視してサロンを選ぶお客様は増えています

SNS・ブログ・店内掲示などで、SDGsへの取り組みをわかりやすく発信し、価値観を共感することが大切です。

スタッフ全員が関われる仕組みにする

SDGsの取り組みは、経営者やマネージャーだけが主導するのではなく、スタッフ全員が自分ごととして関われる仕組みにする必要があります。たとえば、「使い捨てを減らすアイデア」「使わない電力を減らすチェックリスト」などを共有するというように、日々の業務に組み込む工夫が効果的です。

また、SDGsに高い関心を持つ人がスタッフの中にいれば、彼らのアイデアや意見を反映させ、リアルで実行力のある取り組みが実現できるでしょう。自発的な関与を促すためには、義務ではなく、楽しさとやりがいを見出せる雰囲気づくりが大切です。

SDGsウォッシュを避ける

「SDGsウォッシュ」とは、SDGsに取り組んでいるフリをするだけで、実際の行動や成果が伴っていない状態を指します。これを避けるためには、一過性の施策や表面的なPRに頼るのではなく、実際に行動として根づいているかが重要です。

たとえば、オーガニック製品を一部導入しただけで、サロン全体がサステナブルと見せるようなやり方は、逆に顧客の不信感を招くおそれがあるでしょう。たとえまだ成熟していなくても、本気で取り組もうとしている姿勢が、共感と信頼につながります。

エステサロンもSDGsに取り組もう

近年、SDGsに取り組むエステサロンが増えており、これに参加することは大きな意義があります。エステサロンの業務は、環境問題やジェンダー平等といった課題に取り組みやすいため、無理なく始められるでしょう。

ただし、お客様やスタッフの負担になってしまっては意味がないので、突然大きな目標に挑戦するのではなく、できる範囲でスタートするのがおすすめです。周囲の理解を得ながら継続して行える取り組みが、SDGsの実現につながります。