近年、オンラインミーティングの実施やシェアオフィスの利用など、働き方が多様化していますが、美容業界では勤務時間や職場を自由に選ぶことができる「シェアサロン」という形が注目を浴びています。売上を上げやすいなどの様々なメリットがあり、既に多くの方が利用しています。

今回のコラムでは、そんな人気を集めているシェアサロンについて徹底解説します。シェアサロンの需要が伸びている理由や、利用するメリット・デメリットなど、網羅的にまとめましたので、

  • シェアサロンについて詳しく知りたい
  • 今の雇用形態に不満がある
  • フリーランスで収入をアップさせたい

という方は、ぜひ参考にしてみてください。

シェアサロンとは?


シェアサロンは、簡単に言うと複数人が共同で利用するサロンで、店舗を持たない美容師やエステティシャンに、設備や施術スペースを貸し出します。主な利用者はフリーランスの方ですが、副業として利用する方も多くいます。

鏡やチェアがある美容師向きのタイプや、エステベッドが備え付けられているタイプなど、共有するスペースの形や広さは様々です。特定の業種に限らず、色々なジャンルの方が利用できます。

シェアサロンの需要が伸びている理由

  • フリーランスの増加
  • 美容業界の競争率の高さ

シェアサロンの需要が伸びている理由は、主に以上の2点です。需要拡大の理由を理解することで、シェアサロンの利用が自身に合っているのかの判断や、美容業界の動向予想など、今後の働き方のヒントになるでしょう。

フリーランスの増加

シェアサロンの需要が伸びている理由の1つ目は、フリーランスの増加です。店舗を必要としないフリーランスが増加することで、シェアサロンの需要は年々拡大しています。

エステティシャンや美容師は、本人のスキルに経営が依存するビジネスモデルなため、道具さえ揃えば場所を問わず働くことができます。そのため独立がしやすく、フリーランスになる美容関係者は増えています。また、美容の需要はこれからも伸びることが予想されている点も、美容系フリーランスが増加する要因です。

また、インターネットやSNSを活用することで集客できる現代では、実店舗を持たなくても十分に顧客を集めることが可能です。費用をかけずに全国の方をターゲットにすることができることは、フリーランスを増加させ、シェアサロンの需要拡大を支えています。

美容業界の競争率の高さ

シェアサロンの需要が伸びているもう1つの理由は、美容業界の競争率の高さが挙げられます。感染症の影響で一時は売上を落とした美容業界ですが、既に回復を見せており、2021年度の理美容サロン市場の売り上げは前年度を上回っています。今後も市場規模の拡大が期待でき、さらなる競争の激化が予想されます。

競争の激しい美容業界では、開業してから間もなく廃業に追いやられるサロンも少なくありません。店舗を持つ場合、美容機器の購入や内装工事の施工など、初期費用がかかる分、廃業時のリスクは大きいです。

一方、シェアサロンは、特定の店舗を持つことがなく、サロンによっては美容機器などの設備や備品のレンタルができます。初期費用があまりかからないため、廃業時のリスクは低いです。

その他にも、地域に捉われずに集客できる点や、時間に捉われずに働くことができる点もシェアサロンの需要増加を支えているでしょう。

シェアサロンはどんな人が使うのか?

  • エステティシャン
  • マッサージセラピスト
  • ネイリスト
  • 整体師
  • アイリスト
  • 美容師

シェアサロンを利用する、代表的な職種の例は上記の6つです。スキルさえあれば、場所を問わず働くことができるのが主な理由です。

開業のために資金を準備しておきたい方や、常連客が付くまではリスクを抑えて働きたい方、時間や場所にとらわれず自由に働きたい方がシェアサロンを利用する傾向にあります。

シェアサロンの3つのタイプ

  • レンタルサロン
  • レンタルスペース
  • サロンの空きスペース

シェアサロンは上記の3種類があり、提供するサービス内容や予算に合ったサロン選びが必要です。3つのサロンタイプを解説するので、特徴を抑え、自身に合った働き方を選びましょう。

レンタルサロン

レンタルサロンは、テナントやマンションの一室を施術スペースとして提供してくれるサロンです。ベッドや鏡など、施術の際に使用する設備や備品が揃えつけてあるため、自身で用意しなくて良い点が1番のメリットです。美容機器などの持ち運びが難しい設備を使用する方や、痩身メニューや脱毛メニューを提供する方が主に使用します。

一般的なサロンと、なるべく同じような環境で働きたい方に向いています。

レンタルスペース

レンタルスペースとは、利用者の用途に合わせて、スペースを時間貸ししているサービスです。美容に関わらず、イベントや会議など様々な目的で使用されるため、レンタルサロンよりも利用料金は安く、自由度が高いです。美容に関連しない方にも出しているため、インテリアや照明はシンプルなことが多く、サロン独特の雰囲気を演出するのは困難です。また、施術に必要な設備は整っていないことが多く、道具や機器などを自身で揃える必要があります。

インテリアや内装など、お店の雰囲気が顧客満足度に影響を与える、エステティシャンやマッサージセラピストには、あまり向いていません。

サロンの空きスペース

美容院やエステサロンなど、既に店舗があるサロンの空きスペースを貸し出してくれるサービスです。正確には「面貸し」と言われますが、シェアサロンと同様に多くのフリーランスの方が利用しています。

スペースを貸してくれるお店の顧客に認知してもらいやすいので、集客にかけるコストを削減できるのが大きな魅力です。エステサロンの空き部屋を利用したネイルの施術や、美容院にてフェイシャルエステの実施など、実店舗が提供するサービスと相性の良いメニューを導入することで、さらなる相乗効果を期待できます。

シェアサロンと業務委託の違い

シェアサロンを利用する他に、フリーランスの方にとってメジャーな働き方として知られているのが「業務委託」です。混同されがちですが、シェアサロンと業務委託は異なります。

業務委託は、一時的にサロンスタッフとして雇われる形で働きますが、シェアサロンは完全に個人で行うビジネスです。空きスペースの貸し借りがあるだけで、業務形態は異なります。

貸し出している側も、売上を伸ばすために、集客や経営に力を貸してくれることもありますが、基本的には全く別のビジネスです。

シェアサロンの料金体系は?

シェアサロンは、業務形態によって料金体系が異なります。

  • 歩合制
  • 月額制
  • 時間制
  • 組み合わせ

歩合制

歩合制とは、成果報酬型の給与形態です。売上に対してサロンの利用料金を払うシステムで、売上や歩合率によって支払額は変動します。例えば、歩合率が20%で売上が100万円の時、オーナーに支払う金額は20万円です。

売上が低い時は支払額が少なく、赤字になるリスクを下げられますが、経営が上手くいっている時はその分利用料金も高くなります。フリーランスとして働き始めたばかりの時は経営状況が予想しにくいので、歩合制のサロンを利用することで、売上が立たなかった際でも出費を抑えられます。

月額制

毎月決められた額を支払うことでサロンを使用します。支払い料金は一定で、売上や使用頻度に左右されません。歩合制とは反対に、売上が伸びても支払い額は増えないので、繁忙期や経営状況が良い時に利用することをおすすめします。売上が低い場合でも、一定の金額を支払う必要があるので、経営状況が安定しない時期は、歩合制か時間制のサロンを使用すると良いでしょう。

月額制は料金が常に一律なため、売上の管理や経営状況の把握がしやすいです。

時間制

時間制のサロンでは使用した時間の分だけ料金を支払います。1日で複数回利用する場合でも、使用した時間に応じて料金が発生するため、施術していない時間に費用がかかることはありません。お客様が少ない閑散期や育児や本業が忙しくてあまり働けない月は、働いた時間に応じて料金が発生する時間制の利用がお得です。

歩合制同様に、顧客の数が増えれば増えるほど、支払額はかさむので、集客が上手くいっている時期は月額制のサロンを利用するのがおすすめです。

組み合わせ

3つの料金体系をご紹介しましたが、どれか1つしか採用していないサロンはあまりありません。多くのシェアサロンが「月額制・歩合制」「時間制・歩合制」のように、利用料金を組み合わせています。

月額制と歩合制を導入するサロンを主に利用しつつも、出先では時間制のサロンを使用するなど、働き方に合わせて料金体系を選ぶのがおすすめです。複数のサロンを上手に活用することで、無駄な支払いを抑え効率良く収入を伸ばせます。

シェアサロンを使うメリット

  • 低リスクで始められる
  • 売上を伸ばしやすい
  • 時間や場所に制限されない
  • 手取りが高い

シェアサロンを利用するメリットは以上の4点です。働き方には、人それぞれ向き不向きがあります。店舗を持つのか、シェアサロンを活用するのか、どちらが良いかを一概に判断することができません。メリットを確認し自身がシェアサロンを利用するべきかどうかの判断材料にしましょう。

低リスクで始められる

シェアサロンの利用は、施術スペースや設備を借りられるため、一般的なサロンの開業よりも初期投資を抑えられます。

開業するとなると、内装工事や美容機器の購入など、その他にも様々な費用がかさみ、万が一経営が上手くいかなかった時に大きな損をする可能性があります。シェアサロンを利用することで、仮に売上が上がらなくて辞める場合の損益を最小限に抑えられます。

売上を伸ばしやすい

シェアサロンは場所に縛られないため、競合の少ない地域を選択することで売上を向上させやすいです。また、複数の店舗を活用することで、来店者に合わせてエリアも拡大できるので、ターゲットを広げることもできます。

自分の店舗を持つ場合、来店者数、または客単価を伸ばさない限り、売上を向上させることはできません。ターゲット層も限られてくるため、簡単ではないでしょう。

シェアサロンの利用では、ターゲットの顧客層に合わせて働き方を調節することで、売上の向上が期待できます。

時間や場所に制限されない

シェアサロンを利用する場合、自身のライフスタイルに合わせて働けます。育児や本業が忙しい方でも、勤務時間を柔軟に調整することで、一人ひとりに合った働き方を選択できます。

収入が高い

シェアサロンを利用する場合、売上をそのまま自身の利益にすることができます。特定のサロンで雇用されるよりも、収入は高くなる傾向があります。また、給料が固定されていないため、自身の努力次第で際限なく売上を伸ばすことができる点もメリットの1つです。

多くの正社員は、一般的にサロンの売上や個人の成果に関わらず給与が支払われます。多少のインセンティブが支払われることもありますが、大きな金額ではありません。

シェアサロンのデメリット

  • 集客の工夫が必要
  • 事務作業を自分で行わなければならない
  • 収入が安定しない
  • 設備に慣れない
  • 自由度が低い

シェアサロンを利用するデメリットは上記の6点です。メリットだけでなくデメリットも把握し、事前に対策を検討しましょう。1つずつ確認していきます。

集客の工夫が必要

シェアサロンを利用する方は実店舗を持っていないため、存在を認知してもらうのが簡単ではありません。SNSや公式HPを活用するなど、集客に工夫が必要です。また、メディア媒体を利用する場合は、専門的な知識も必要で、誰でもすぐにできるわけではありません。

初めは、知り合いへの告知や近隣住民に向けたチラシ配りなどを実施し、新規顧客を獲得していくのが良いでしょう。質の高いサービスを提供することができていれば、口コミが広がり、徐々に認知してもらえるようになります。

また、同時にSNS運用やwebサイト開設の準備をし、オンラインでの集客も活用すると効果的です。この時点である程度認知されていればフォロワーを集めやすく、運用が楽です。SNSやwebサイトを利用した集客は、全国のお客様をターゲットにすることができるので、大幅な売上アップに繋がるでしょう。

事務作業を自分で行わなければならない

フリーランスの場合、予約対応や集客など、事務作業を全て自分で行う必要があります。一般的には会社やお店が行ってくれる作業も、全て自分が負担することになるので、仕事量は少なくありません。

中には、確定申告など専門的な知識が必要な作業もあります。国税庁の公式HPをよく読み、間違いがないようにしましょう。

収入が安定しない

シェアサロンを利用する働き方は、売上と顧客数が直結しているため、毎月収入は変動します。努力次第で売上を伸ばすことは可能ですが、上手くいかなかった時はその分手取りも少ないです。

売上の伸びやすい曜日や時間帯がわかると、改善策を検討しやすいです。

設備に慣れない

サロンによって、利用できる設備や美容機器は異なります。複数のサロンを利用する場合など、使用に慣れている設備が整っているサロンを選びましょう。美容機器は種類が豊富で、効果も様々なので、お客様に等しい価値を提供できるよう、サロン選びには注意が必要です。

中にはまとまったエリア内に複数店舗を展開しているシェアサロンもあります。同じ設備を備えていることが多いので、シェアサロンが混雑している場合でも、同じサービスを提供できます。

自由度が低い

シェアサロンは、施術するためにレンタルするだけなので、内装やインテリアなどを自由に変更できません。施術や機器の手入れなどに関するルールもあり、自由度が高くないです。サロンの雰囲気や内装にこだわりたい方には向いていません。

シェアサロンを選ぶ際は、施術のしやすさや導入機器の確認だけでなく、内装やインテリアなどの店内の雰囲気も考慮しましょう。少しでも自身が提供するメニューに合うサロンを選ぶことで、顧客満足度を高められるかもしれません。

あなたに合った働き方を検討しましょう

今回のコラムでは、シェアサロンについて徹底解説しました。働き方が多様化する現代では、シェアサロンのメリットは多く、既にたくさんの方が利用しています。一方でデメリットもあるため、誰にでもおすすめできるわけではありません。今回のコラムを参考に、自分に合う働き方を見つけましょう。

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