たとえばサロン領域では、技術研修(施術の標準化・衛生管理)、接客・カウンセリング、店販(物販)提案、クレーム対応、管理者育成など、職務に直結する研修設計がしやすいのが特長です。

エステサロンを開業するには数百万円という多額の資金が必要になり、多くの場合、何らかの方法で資金調達を行う必要があります。

一般的には、

  • 地元の金融機関
  • 日本政策金融公庫
  • 信用金庫

これらのような機関から融資を受けることが選択肢として挙がります。しかし、融資ではなく、返済義務がない補助金や助成金もエステサロンの開業・運営に活用できることをご存知でしょうか。

今回のコラムでは、経営に活用したい補助金と助成金について解説いたします。エステサロンのほか、脱毛サロン・美容サロンなどの事業計画を立てている方は、ぜひご覧ください。

※本記事は2026年1月時点の情報です。補助金・助成金は年度・公募回で要件や金額が変わるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

助成金と補助金の違いは?

詳しい内容を見る前に、まずは助成金と補助金の違いについて確認していきましょう。

助成金とは?

「助成金」は大きく分類すると、厚生労働省が所管している雇用関係の助成金と、経済産業省が所管している研究開発系の助成金の2種類に分かれます。美容サロンのオーナー様が活用を検討するのは、雇用関係の助成金となるでしょう。

助成金の特徴としては、返済義務がなく、申請条件を満たしてさえいれば、書類に不備がない限り、基本的にどの企業でも受給することができます。ただし、受給した助成金は課税対象となることに注意しなければいけません。

補助金とは?

「補助金」とは、国(主に経済産業省・中小企業庁)や自治体などが実施する、事業の取り組みを支援する制度のことです。返済義務はありませんが、助成金と異なり審査・採択が必要なケースが多く、要件を満たして申請しても不採択となる可能性があります。

また、補助金は多くの場合、事業実施後に実績報告を行い、確認を経て支払われる「後払い(精算払い)」の仕組みです。開業時に活用する場合は、「いつ申請できるのか」「交付決定前に支出してよいのか」「対象経費は何か」を公募要領で確認し、必要に応じて立替資金(つなぎ資金)も含めた資金計画を立てて進めましょう。

エステサロン開業に役立つ助成金

まずは助成金からチェックしていきましょう。

  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 両立支援等助成金(出生時両立支援助成金)
  • 地域雇用開発助成金

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用・短時間・派遣などの非正規雇用労働者のキャリアアップ(正社員化/処遇改善)に取り組む事業主を支援する制度です。返済は不要ですが、コースごとの支給要件を満たさない場合は不支給となるため、実施前に最新の要件を確認して準備することが重要です。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース

2025年時点では、以上の6コースが用意されています。定期的にコースの見直しが行われているため、資金調達のため申請を考えた場合はその際に一度最新の内容をチェックしておくのがよいでしょう。

なお、今回のコラムでは、特に多くのサロンで利用しやすいと思われる「正社員化コース」を取り上げてご説明します。

正社員化コース

正社員化コースは、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した場合、または派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者等として直接雇用した場合に助成される仕組みです。なお、正規雇用労働者には、多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)も含まれます。

※一方で、新規学卒者で雇入れ日から1年未満の者は支給対象外とされています。

正社員転換後は、転換前6か月と転換後6か月の賃金を比較して、3%以上の賃金増額が必要です。賃金比較は、基本給や定額手当等を前提に整理されます(詳細は公的資料の算定ルールに従って確認してください)。

キャリアアップ助成金の支給額

正社員化コースは、対象者が「重点支援対象者」に該当するかどうかで、1人当たりの支給額が変わります。

中小企業の場合(1人当たり)

  • 有期 → 正規:重点支援対象者 80万円/それ以外 40万円
  • 無期 → 正規:重点支援対象者 40万円/それ以外 20万円

大企業の場合(1人当たり)

  • 有期 → 正規:重点支援対象者 60万円/それ以外 30万円
  • 無期 → 正規:重点支援対象者 30万円/それ以外 15万円

※重点支援対象者:次のような人が重点支援対象者に含まれます。

  • 雇入れから3年以上の有期雇用労働者

  • 雇入れから3年未満でも、一定の就業歴要件を満たす有期雇用労働者

  • 派遣労働者、母子家庭の母等(父子家庭の父等)、人材開発支援助成金の特定訓練修了者など

参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

人材開発支援助成金

人材の育成や教育に力を入れている事業主に対して支給されます。スタッフの技術向上や必要資格取得を目的とした休暇制度や短時間労働に対応している企業、社内検定制度を採択した場合などに申請ができます。

  • 人材育成支援コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース

2025年現在、以上のコースが用意されています。この中でもエステサロンと相性がよく、比較的検討しやすいのは 「人材育成支援コース」 と 「人への投資促進コース」 です。ここでは、この2つを中心に概要を紹介します。

人材育成支援コース

人材育成支援コースは、従業員に対して職務に必要な知識・技能を身につけさせるための職業訓練を、計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などが助成される制度です。代表的な対象として、10時間以上のOFF-JT(座学・外部研修等)が挙げられます。

たとえばサロン領域では、技術研修(施術の標準化・衛生管理)、接客・カウンセリング、店販(物販)提案、クレーム対応、管理者育成など、職務に直結する研修設計がしやすいのが特長です。

また、制度上は OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練(認定実習併用職業訓練等)や、有期契約労働者の正社員転換を目的とした訓練などのメニューも整理されています。

人への投資促進コース

人への投資促進コースは、デジタル人材・高度人材の育成や、成長分野に関する訓練などを含め、企業の人材投資を後押しする枠組みです。具体的には、高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練に加え、定額制訓練(サブスクリプション型研修)、従業員が自発的に受講する訓練を事業主が費用負担する自発的職業能力開発訓練などが対象として整理されています。

サロン運営に置き換えると、たとえば以下のようなテーマが「人材投資」として組み立てやすい領域です。

  • 予約・顧客管理のDX(予約導線の最適化、顧客データの扱い方)
  • SNS/広告運用・クリエイティブ制作の基礎(集客の内製化)
  • カウンセリング品質向上(説明力・提案力の標準化)
  • コンプライアンス(景表法・個人情報・契約実務の基礎)

※いずれのコースも、年度や公募・運用の見直しで要件や助成内容が変わることがあるため、申請時は最新の案内・支給要領を必ず確認してください。
参照:厚生労働省「人材開発支援助成金」

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、従業員が育児休業や介護休業を取りやすい環境づくりを目的として設置された助成金です。育児や介護と、仕事を両立するための制度導入や育児休暇を利用しやすい環境づくりなどが申請の条件に該当します。

単に職場環境を整えるという意思表明だけではなく、具体的にどのような施策をいつ実施するのかを計画し、実行しなければなりません。2025年時点で以下のコースが用意されています。

  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 育休中等業務代替支援コース
  • 柔軟な働き方選択制度等支援コース
  • 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース

参照:厚生労働省「両立支援等助成金」

地域雇用開発助成金

地域の雇用拡大のために作られた助成金で、雇用機会が特に不足している指定地域に店舗を開業し、その地域の居住者を雇用した場合などに支給されます。支給額は「増加した労働者数」などで決まり、最大で800万円(創業等は1.5倍)など、要件に基づき決定されます。

ハローワークなどの紹介により労働者を雇い入れること、明瞭性の高い会計や労働管理が求められます。対象地域は以下の3つの区分のうち、いずれかに該当する地域です。

  • 同意雇用開発促進地域
  • 過疎等雇用改善地域
  • 特定有人国境離島地域等

過疎地域や離島など、持続的な雇用や就業が難しく改善が必要なエリアが該当しています。事業者の境遇によってはお店を開きやすい地域が該当する可能性もあるので、一度厚生労働省のホームページで確認してみるのがよいでしょう。

参考:厚生労働省「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」

エステサロン開業に役立つ補助金

次にエステサロンでも活用できる補助金を紹介します。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、経営計画に沿って販路開拓や生産性向上の取り組みを行う小規模事業者をサポートするための補助金です。

  • 新たな商品やサービスの開発に関する経費
  • 既存のサービスや製品の販路開拓に関する経費

上記の条件を満たす場合、補助金で賄うことが可能です。エステサロンとしては、例えば以下のような例が該当します。

  • 高性能な機器や関連用品の購入によるサービス向上
  • 新規顧客の呼び込み、及び既存顧客の維持
  • ホームページなどを活用した集客

補助金ですので選考が必要になるほか、「小規模事業者」という名前が付いた補助金なので、サービス業なら「従業員5人以下の事業者が対象」といった規定があります。

参考:「小規模事業者持続化補助金」

IT導入補助金

「IT導入補助金」は小規模事業者・中小企業を対象都市、生産性向上につながるITツールの導入にかかる費用を補助するものです。

  • 勤怠管理システムの導入
  • 顧客予約・管理システムの導入
  • キャッシュレス決済システムの導入
  • その他作業効率化システムの導入
  • IT化に伴うパソコンやプリンターなどの設備費用 など

以上のような項目が、最大で費用の2分の1まで補助されます。30〜450万円の範囲という制限があるほか、申請区分により金額や対象経費は異なるため確認が必要です。

参照:IT導入補助金2025

補助金と助成金を活用しよう

サービス業であるエステサロン業界にとって、お客様にご満足頂くための設備投資は必須です。

しかし、多額の開業支援を自身が所有している資金だけで賄うことは難しく、融資を受けるとしても、結局は有利子で返済しなければいけません。ここまでご紹介してきた助成金や補助金を上手く活用し、十分な資金を調達するよう、対策しましょう。

総合美容機器メーカーである株式会社NBSでは、エステサロンの開業・運営支援事業も行っています。資金問題のほか、経営ノウハウや人事採用など、サロンオーナー様を全面的にサポートさせていただきますので、これからサロン開業を予定されている方も、何かお悩み事があれば、気軽にお問い合わせください。

※2025年時点での情報です。各助成金・補助金の詳細については、各管轄行政や専門機関のホームページをご覧ください。