看護師の転職先として注目が集まっているのが美容クリニック。夜勤や人間関係がつらいなどの理由で退職したいけど、転職先でも資格やスキルを活かしたいという人が多く、美容看護師の人気が高まっています。
ただ、人気が高いからといって何も知らないまま飛び込むのは少し怖いですよね。そこで本記事では、転職先に美容看護師を考えている方向けに、美容看護師をキャリアとして選んで後悔しないために押さえておくべきポイントをご紹介します。
必要な情報を把握し、納得したうえで美容看護師の道を歩みましょう。
目次美容看護師ってどんな仕事？
美容看護師とは、美容を目的とした治療や施術を行う美容クリニックで働く看護師のことを指します。
美容クリニックには美容皮膚科と美容外科の2種類があり、美容皮膚科では主にシワやたるみ、ニキビなどの肌トラブルを医学的に治療します。一方、美容外科では、二重形成やリフトアップなど、手術により容姿を変えることが目的です。
美容看護師の仕事は、医師の診療・手術の補助や医療機器の操作、術後のアフターケア、服薬指導など多岐に渡ります。美容皮膚科ではレーザー照射や美容注射など、看護師が施術を行うことがある一方で、美容外科では手術時の介助がメイン業務となるでしょう。
美容看護師に必要な資格・スキル
美容看護師になるためには以下に挙げる資格やスキルが必要です。一つずつ解説していきます。
- 看護師・准看護師の資格
- 穿刺（せんし）や手術介助のスキル
- 接客のスキル
看護師・准看護師の資格
美容看護師は美容に特化した施術のサポートをすることが多いため、仕事内容は病院のときと大きく異なります。
しかし、美容クリニックも病院と同じ医療機関であるため、働くためには看護師または准看護師の資格が必要です。
看護師と准看護師ではほとんど仕事内容は変わりません。ただし、自分の判断で業務が行えるのは看護師のみです。
また准看護師の資格しか持っていない方でも、看護師学校養成所に通ったり、実務経験を数年積んだりすることで看護師になることができます。
穿刺（せんし）や手術介助のスキル
美容クリニックでは美容注射や点滴の投与、採血といった業務があるため、穿刺（せんし）のスキルが求められます。穿刺は病院での業務でもあるため、新たに習得すべきスキルというわけではないでしょう。
美容整形手術を行うクリニックにおいては、器具の洗浄や滅菌、薬剤の整理といった施術前の準備だけでなく、円滑に施術が進むよう医師との情報共有といった手術介助が必要です。
そのため、オペ看護師（手術室の中で働く看護師）としての経験がある方は重宝されます。
接客のスキル
美容看護師は施術の時以外にもお客様とコミュニケーションをとる機会が多いため、接客のスキルを身につけておくと良いでしょう。
美容クリニックは病院とは違って自由診療を基本としており、お客様に合わせて細かな検査などを実施でき、サービス業に近い側面をもっています。そのため、看護師の対応がクリニックへのイメージに大きく影響を与えます。
またクリニックの収益は契約と物販から生まれます。お客様へのヒアリングや施術の提案をすることで契約をしてもらったり、営業をかけてクリニックが出している商品を買ってもらったりする必要があります。
お客様の要望に応える、営業をかける場面が多いため、美容看護師として働くうえで接客スキルも必要だといえます。
美容看護師に必要な資格・スキルについてご説明しました。過去のコラムで美容看護師が持っていると有利な資格についてまとめておりますので、そちらも合わせてご覧ください。
美容看護師が持っていると有利な資格8選！取得するメリットも解説
美容看護師の平均年収
転職を考える際に気になるのがお金についてですよね。
美容看護師の平均年収は390万円〜500万円だといわれています。大手のクリニックだともう少し高くなる傾向があります。
高水準な給料の理由はいくつかありますが、一番大きな理由は「自由診療」というところでしょう。
一般病院では、病院独自で医療行為に対する金額を決められない一方で、美容クリニックでは医療技術に対する金額を自由に設定できます。またクリニック独自の美容グッズの売上も収益に関わります。
クリニックによってはインセンティブ制度を採用しており、グッズを販売した分の報酬が給料に反映されます。クリニックの収益が直接的にスタッフへの給料に反映されやすいのは魅力的ですよね。
夜勤や残業があまりないうえでこの金額を稼げるのは、美容看護師の大きなメリットといえるのではないでしょうか。
美容看護師に年齢制限はある？
美容看護師を考えるときにお金と並んで気になる要素としてよく挙がるのが年齢制限について。
結論から申し上げますと、美容看護師は〜歳までしかなれないという年齢制限はありません。ただし、若い方が採用されやすい現状は否定できません。
美容クリニックのスタッフは長く続ける人が少なく、入れ替わりが激しいためにスタッフの平均年齢が低い傾向があります。
それに加え、雰囲気やクリニックの雰囲気を保つために比較的若い人材が採用されやすいと考えられます。
全てのクリニックがそうとは限りませんが、早いうちから行動して損はありません。
美容看護師になるメリット・デメリット
美容看護師に転職することは良い面も悪い面も両方持ち合わせています。比較したうえで美容看護師になるのかどうかを決断しましょう。
メリット
美容看護師になるメリットは以下の通りです。
- 夜勤・残業が少ないにも関わらず給料が高い
- 急変や救急対応がない
- 仕事をしながら最新の美容に関する知識を増やせる
- 職場に清潔感がある
- 看護師のスキルを活かせる機会が多い
- 通勤しやすい
看護師の悩みとしてよく挙がる「給与が見合わない」「休暇が取れない」「生活リズムが崩れる」といったものをクリアできるのが美容看護師の大きなメリットです。
また、美容クリニックはお客様が通いやすいよう駅の近くや駅のビル内にあることが多く、通勤しやすいのも意外と知られていないメリットといえます。
デメリット
美容看護師は魅力的なメリットが多い反面、以下のようなデメリットも存在します。
- 看護の業務が少ない
- 看護師の経歴としてカウントされにくい
- 土日・祝日に休めないことが多い
- 営業ノルマがあるクリニックもある
- 離職率が高い
穿刺のスキルが必要と先述しましたが、病院勤務の時ほどその機会はありません。そのため、看護師としてのスキルが低下する傾向にあります。
また、臨床から美容クリニックに転職して、もう一度臨床に転職するとなった場合、美容看護師の期間は看護師としての経歴としてカウントされないことも。そのため、転職の際には注意が必要です。
さらに、営業のノルマが思ったよりきつかったり、人間関係が上手くいかなかったりといった理由から離職してしまう人が多いこともマイナスの要素といえます。
就職先の美容クリニックの選び方
美容看護師になると決めたはいいものの、何を基準に職場を選んだらいいのかわからないという方も多いでしょう。そんな方は以下の基準で選ぶことをおすすめします。
- 給料・休日
- 職場環境
- 現場のスタッフ
- 転職エージェントへの相談
給料・休日
どこに転職するとしても見ておくべきなのが給料や休日についての情報です。以下のポイントをチェックしておきましょう。
- 年間休日数
- 年間希望休数
- 土日・祝日の休みやすさ
- 有給の詳細
- 公休日の内訳
- 昇給
職場環境
どれだけやりたい仕事だとしても、職場環境が合わないと長続きしません。
勤務時間や残業の有無などの働く時間はもちろん、研修制度の充実度、育休や産休の取得状況などのワークライフバランスに関しても把握しておくことが大切です。
また結婚を考えている方は勤務地の移動の可否も確認しておきましょう。
現場のスタッフ
就職前に把握するのが難しい項目かもしれませんが、現場のスタッフに関する情報を集めることも重要です。
転職前に職場を見学したり、在籍している看護師に話を聞いたりすることで、以下の項目をできるだけ集めておきましょう。そこで働く人の情報を集めることは、自身がその職場で働くイメージをより鮮明にしてくれます。
- 在籍している医師の人柄
- 美容看護師の人数
- 美容看護師の年齢層
- 在籍スタッフの勤続年数
- 離職率
転職エージェントへの相談
自分の力だけでは十分な情報収集ができない、初めての転職活動で何から始めたら良いかがわからないという方は転職エージェントを活用するのも一つの手です。
ただ、転職エージェントはその会社が提携を結んでいるクリニックばかりをおすすめしてくる可能性もあるので、あくまで活用するという意識で利用しましょう。利用する側が利用されてはいけません。
納得したうえで美容看護師を選択しよう
転職先として美容看護師を考えている方向けに、美容看護師のいろはを解説いたしました。離職率が高い美容看護師だからこそ、目指すのであれば美容看護師の現状を知ったうえで選択すべきです。
美容看護師を目指す方は、就職してから後悔しないよう、事前の情報収集をしっかり済ませておきましょう。