セラピストとして独立開業すると、施術の提供だけでなく、トラブル対応やリスク管理まで自分自身で担う必要があります。整体・アロマ・リラクゼーション・エステなど、どのジャンルでもお客様の身体に触れる仕事である以上、施術事故・店舗内トラブル・自身のケガなど、個人事業主ならではのリスクは常につきまといます。
こうしたリスクを最小限に抑え、安心して施術に集中できる環境を整えるために欠かせないのが「セラピスト向けの保険」です。特に、施術トラブルへの賠償責任や、働けなくなったときの収入確保は、個人で活動するセラピストにとって大きな課題となります。
本記事では、個人事業主のセラピストに保険が必要な理由、加入しておくべき保険の種類、そして後悔しないための保険の選び方まで、わかりやすく解説します。
個人事業主のセラピストに保険が必要な理由

個人事業主として活動するセラピストにとって、保険は「万が一のリスクに備えるため」だけでなく、「事業を安定して続けるための基盤」として欠かせない存在です。エステ・リラクゼーション・整体・アロマなど、どの施術ジャンルでも共通しているのは、お客様の身体に直接触れる仕事であるという点です。この特性から、店舗型・自宅サロン・出張問わず、さまざまなトラブルリスクが発生しやすくなります。
最も大きなリスクは、施術による肌トラブルや痛み悪化などの「施術事故」です。セラピスト側が適切に施術していても、体質や体調の影響で赤み・腫れ・揉み返し・アレルギー反応が出ることは珍しくありません。お客様から治療費や返金を求められた場合、数万円〜数十万円規模の賠償に発展することもあり、個人事業主にとっては大きな負担になります。
また、施設内での転倒事故や、顧客の私物の破損など「店舗運営に伴うトラブル」も起こり得ます。特に自宅サロンやマンションの一室で営業している場合、わずかな段差や設備の不具合が事故につながりやすく、予期せぬ賠償を求められるケースもあります。
さらに、個人事業主のセラピストには「自分自身のケガ・病気」による収入リスクもあります。施術は体力を使う仕事であり、腱鞘炎・腰痛・ぎっくり腰などで施術ができなくなると、その瞬間から収入が止まってしまいます。会社員のように休業補償がないため、働けない期間をカバーする備えが必要です。
そしてもう1つ重要なのが、保険に加入することで、お客様に対して「安心して任せられる」という信頼を提供できる点です。施術事故やトラブルに備えているセラピストは、顧客からの評価も高まり、リピートにもつながりやすくなります。
個人事業主のセラピストは施術事故・店舗トラブル・自身のケガ・収入リスクなど、複数のリスクを一人で抱えています。保険は、そのリスクを軽減し、長く安心して事業を続けるために欠かせないものだと言えるでしょう。
セラピストが加入すべき保険の種類

個人事業主として活動するセラピストは、施術に伴う事故リスクから店舗運営中のトラブル、そして自身のケガや病気による収入減少まで、様々なリスクに一人で向き合う必要があります。そのため、状況に応じた複数の保険に加入しておくことで、事業の安定性とお客様の安心感が大きく高まります。ここでは、セラピストが特に加入しておくべき代表的な保険について、それぞれの特徴と必要性を詳しく解説します。
賠償責任保険
セラピストにとって最も重要と言えるのが、施術中にお客様へケガ・肌トラブルなどが発生した場合に補償してくれる「賠償責任保険」です。整体・アロマ・リラクゼーション・エステなど、手技・商材・機器を使う施術では、赤みや腫れ、揉み返し、アレルギー反応など、意図しないトラブルが起きる可能性があります。
適切に施術していても、体質・体調による予期せぬ反応でクレームや治療費を求められるケースは多く、賠償額が数十万円に達することもあります。賠償責任保険に加入しておけば、治療費・慰謝料・弁護士費用などをカバーでき、個人事業主を大きな金銭トラブルから守ることができます。
施設賠償責任保険
施術そのもの以外にも、店舗内での事故に備える「施設賠償責任保険」も重要です。例えば次のようなケースが該当します。
- 施術ルームの段差でお客様が転倒
- アロマディフューザーの蒸気でお客様の私物が濡れてしまった
- 機器コードに足を引っ掛けて転んだ
セラピスト側に過失があると判断された場合、賠償責任を負う可能性があるため、店舗運営を行うなら必ず加入しておきたい保険です。自宅サロンやマンション一室のサロンでも対象となるため、見落としのないよう注意が必要です。
業務災害(労災)保険
個人事業主は会社員と違い、業務中のケガに対して労災保険が適用されません。施術仕事は腰痛・腱鞘炎・ぎっくり腰といった負担が大きく、働けなくなると収入がゼロになるリスクがあります。そこで役立つのが「業務災害補償保険」または「フリーランス向け労災保険」です。
- 施術中に腰を痛めた
- 移動中に事故に遭った
- 機器を持ち運んでぎっくり腰になった
上記のような怪我をしても補償を受けられます。休業補償(収入サポート)が付くプランなら、働けない期間もしっかり備えることができ、個人事業主としての安定して働きやすくなるでしょう。
所得補償保険
病気やケガで長期間施術ができなくなると、個人事業主のセラピストはその瞬間から収入が止まります。特に、自分1人で運営する自宅サロンや出張セラピストは、このリスクが非常に大きいのが現実です。所得補償保険に加入しておけば、病気やケガで働けない期間に毎月一定額の給付を受けることができ、家賃・生活費・事業維持費の支払いに備えられます。自分自身が最大の資本である個人事業主にとって、収入リスクへの備えは非常に重要です。
店舗・設備の火災保険
セラピストが扱うアロマオイル・加湿器・電気機器などは、思わぬ事故や火災の原因になる可能性があります。店舗の設備が壊れたり、火災や水濡れで施術ができなくなった場合、営業停止は大きな損害につながります。火災保険は下記のようなリスクに備えるものです。
- 火災、落雷、爆発
- 水漏れ、破損、盗難
- 施術ベッド、機器、内装などの損害
自宅サロンの場合も、賃貸契約やマンション管理規約に従って加入しておく必要があり、万が一の損害を補償するための重要な保険のひとつです。
PL保険
脱毛器・痩身機器・アロマオイル・化粧品などを扱うセラピストは、「製品が原因で発生したトラブル」に備えるPL保険(生産物賠償責任保険)も検討すべきです。例えば
- アロマオイルの化学反応で炎症が起きた
- 機器の不具合で火傷が発生した
- 販売した化粧品によるトラブル
といったケースに対応できます。物販を行うサロンでは特に重要です。セラピストが加入すべき保険は、施術事故・店舗事故・自身のケガ・収入リスク・設備損害・商材トラブルなど、幅広いリスクをカバーするために複数種類あります。どの保険が必要かはサロン形態や提供メニューによって異なるため、自分の事業形態にあわせて最適な保険を選ぶことが大切です。
個人事業主のセラピスト向け保険の選び方

個人事業主として活動するセラピストにとって、保険の選び方は「どのリスクをカバーしたいか」を明確にすることから始まります。施術事故・店舗トラブル・自身のケガ・収入減など、セラピスト特有のリスクは多岐にわたるため、自身の働き方やサロン形態に合った保険を選ぶことが重要です。ここでは、後悔しないための保険選びのポイントを分かりやすく解説します。
自分の施術ジャンルに必要な補償が揃っているか確認する
セラピストが提供するサービスは、整体・アロマ・リフレ・エステ・もみほぐし・リンパケアなど多岐にわたりますが、施術ジャンルによってリスクの種類が大きく違います。例えば、整体・もみほぐしは揉み返しや痛みのリスクが高く、エステやアロマは肌トラブルやアレルギー反応の可能性が生じます。
そのため、加入する保険が 自分の施術内容を補償対象に含んでいるかを必ず確認することが重要です。保険によっては「強い圧をかける施術は対象外」「美容機器使用はNG」という条件があるため、契約前に補償範囲をしっかり照らし合わせましょう。
施術事故と店舗内事故の両方をカバーできるかチェックする
セラピストが加入すべき保険は、施術事故を補償する保険だけでは不十分なケースがあります。店舗で運営している場合、施術以外で起きるトラブル(転倒・設備破損・お客様の持ち物の損壊など)にも備える必要があります。
- 施術賠償責任保険
- 施設賠償責任保険
をセットで加入できる保険会社を選ぶのが理想です。特に自宅サロンやマンションサロンの場合は、建物の規約や近隣への影響なども考慮し、幅広いリスクを補償できる保険を選んでおくと安心です。
自身の収入を守る保険が必要かどうかを判断する
個人事業主のセラピストにとって最も大きなリスクは「自分が働けなくなること=収入ゼロになること」です。
施術は体力仕事のため、腰痛・腱鞘炎・ぎっくり腰などで急に働けなくなる可能性があり、数週間〜数ヶ月の休業に備えておくことは非常に重要です。そのため、
- 所得補償保険
- フリーランス向け労災保険
のどちらか、または両方に加入すべきか検討しましょう。特に一人サロンの場合、施術者本人が休むと売上が完全に止まるため、収入保険は強力なバックアップになります。
賠償限度額(補償額)が十分かどうか確認する
保険料が安いプランほど補償金額が小さいことが多いですが、エステや整体の事故では治療費や慰謝料が高額になるケースがあります。例えば、
- 皮膚炎による通院が数ヶ月に及ぶ
- 腰痛悪化で長期間治療が必要
- 機器による火傷で治療費が高額になる
などの場合、数十万円〜100万円以上の賠償が発生することも珍しくありません。最低でも 1,000万円以上の補償額 のプランを選ぶと安心です。物販や美容機器を扱う場合は、PL保険の補償範囲も確認しておきましょう。
セラピストは保険加入でリスクに備えて安心して施術できる環境を整えよう
個人事業主のセラピストは、施術事故・店舗内のトラブル・自分自身のケガや体調不良による休業など、多くのリスクを1人で抱えています。適切な保険に加入しておくことで、万が一の賠償や休業時の収入減をカバーでき、精神的な安心感も大幅に向上します。
特に重要なのは、施術事故に備える賠償責任保険や、転倒など店舗内の事故に対応する施設賠償責任保険です。さらに、自分が働けなくなった場合に備える所得補償保険やフリーランス向け労災保険は、収入面の不安を軽減し、事業の継続性を守る大きな支えとなります。
保険の選び方では、自分の施術ジャンルが補償対象になっているか、賠償金額が十分か、店舗・設備・物販など事業内容に適した補償が揃っているかを慎重に確認することが重要です。自宅サロン・マンションサロン・店舗経営・出張など、働き方によって必要な保険は異なるため、自分の事業に合わせた保険を選ぶことが成功の鍵となります。
保険は「トラブルに遭った時のため」だけでなく、「安心して仕事に集中できる環境をつくるため」の重要な投資です。適切な保険加入でリスクを軽減し、長く愛されるセラピストとしての活動をしましょう。
目次
